森永乳業の「工場見学」こだわりが詰まった内部 60年代の工場見学実施初期の貴重な写真も
厳密にはいまの工場見学とは異なるが、この当時には珍しく、外から牛乳の製造ラインを見ることができた。散歩がてら牛乳の製造ラインが見れるということで、多くの通行人も見学に来るなど、話題になったようだ。
1960年代には東京多摩工場で、はじめてガイドを伴う工場見学を開始。最初に訪れたのはニュージーランド人という記録が残っているのは驚きだ。
また沖縄森永乳業の工場見学では、地域の違いを感じることができる。筆者のメモによると、2008年から見学を開始した沖縄森永乳業では、一般的な牛乳が1000mlであるのに対し、沖縄では946mlとのことだ。戦後アメリカの統治下だった沖縄。アメリカ製の充填機が1/4ガロンだったことから、沖縄の工場にはその名残が残っているらしい。
現在は新型コロナウイルスをきっかけに工場見学の見直しを実施。施設の老朽化や場内の導線を加味したうえで、東の主力工場の1つである利根工場、西の主力工場である神戸工場の2カ所に絞られている。なお沖縄森永乳業(現在見学は休止中)では、見学再開に向けて動いているそうだ。
コロナ明けの工場見学再開にあたってサスティナビリティ本部コーポレートコミュニケーション部SCグループアシスタントマネージャーの石原沙紀さんは、食品工場に限らず数多くの見学施設を巡って情報収集をした。そこで実際に得た知見は、先にも述べたエムズルームでの「参加者が触って体験できる展示」やお客様とのコミュニケーションを重視する見学などに生かされている。
現場の改善活動のさまざまな工夫
工場見学で見えるのは、もちろん一部だけ。森永乳業の工場ではそのほかにもさまざまな取り組みを行っている。
たとえば東京多摩工場では、製造現場と品質管理室の間で、サンプルを運ぶ猫型配膳ロボットが活躍する。通称たまニャンと呼ばれるこのロボットは、往復300メートル、1日平均40往復し、工場で働く社員の負担を減らすことに貢献している。
こうした日頃の工場現場での改善項目を、現場から吸い上げる取り組みも行っている。
「具体的な内容や件数は言えませんが、1人当たり年間で数十件とあがるので、かなりの数の改善提案が毎年生まれています。つねに何か改善できるところはないか、意識することが習慣化されてきています」(石原さん)
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