アメリカ社会「分断」の根底にある"ふたつの聖書" バイデンとトランプが宣誓に使った聖書は別物

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――そういう分断の中で、カマラ・ハリスの宗教的立ち位置は、どのようなものなのでしょうか?

松本氏 アメリカでは宗教による分断があるだけではなく、宗教以上に人種による分断があります。キリスト教会もバプティストのグループはプロテスタントですが、黒人教会と白人教会が別々に発展してきました。最近は、人種で教会を分けるのはおかしい、キリスト教は人種で人を分けていない、という議論が起きていますが、それでも、黒人教会と白人教会は分かれています。

カマラ・ハリスさんはインド系ですが、父親がカリブ系であったので、長い間カリフォルニアにある黒人バプティスト教会に所属していました。現在、その教会に通っているのかまではわかりませんが、そこの主任牧師はブラウン牧師という方で、公民権運動を指導したキング牧師の直弟子です。

彼女は民主党なので、政治に宗教を持ち出すことはないでしょうが、宗教的には、そう理解されています。

「公民権運動」と「黒人バプティスト教会」

――ハリスは、白人教会と対立していたのでしょうか?

松本氏 対立とまではいえませんが、歴史的に黒人教会と白人教会は別々でした。教会の成立に関しては、古くは奴隷制度まで遡りますが、現在、奴隷制度はなく差別も和らいできています。しかし、差別は決してなくなったわけではなく、残っています。

そのため、先ほど話したように。ここ10年ぐらい黒人バプティスト教会と白人バプティスト教会を一緒にしようという動きがでてきましたが、まだまだ一緒になっていません。

特に南部は奴隷制度の差別が根強く残っているので、統合するのは非常に困難になっています。対立しているわけではないですが、差別ゆえに統合はできない状況です。

アメリカでは1滴でも非白人の血が入ったら、そこからは非白人と見なされます。1滴でも黒人の血が入っていれば黒人です。だから、オバマ大統領も実は同様で、彼も黒人です。

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