1日1万歩は意味がない?10歳若返る歩き方のコツ 1万人に効果検証「インターバル速歩」の実力

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

まず、中高年の市民100名に約1年間、1日1万歩を目標に歩いていただいたのですが、たとえ1日1万歩ほぼ毎日歩いた方でも、その健康改善効果は期待するほどではないことが判明しました。努力のわりに報われないのです。

能勢博
能勢博(のせ・ひろし)/医学博士。京都府立医科大学助手、アメリカイェール大学医学部博士研究員、信州大学医学部教授を経て現在同大学特任教授。ウォーキング研究を続け二十余年で、約1万人に「インターバル速歩」を指導してきた。趣味は登山。主な著書に『ウォーキングの科学』(講談社)、『インターバル速歩で健康になる!』(宝島社)、『もう山でバテない!』(山と渓谷社)などがある(写真:本人提供)

その理由について、アメリカスポーツ医学会発行の『運動処方の指針』には、体力を向上するためには運動の時間や量ではなく、その強度が重要であることが記載されていました。運動強度は、運動時の単位時間当たりの酸素消費量で評価しますが、体力を向上させるには、個人の最大体力(最高酸素摂取量)の60%以上の強度で運動することが必要だというわけです。

その指針では、まずは体力測定で個人の最大体力を決定し、その60%以上を目標に運動を1日30分、週3~4日以上続ければ、遅くとも6カ月で体力が10%向上し、生活習慣病も改善されることを“学会の名誉にかけて”保証していました。

そこで、このプログラムの効果を自分たちでも確かめてみようと、市民の皆さん約300名を対象に検証したところ、まさに同学会が示すとおりの結果が確認できたのです。「これこそサイエンスだ」と感動しましたね。

しかし、この方法だと機器や指導者が必要なのでジムに通わなければならず、時間とお金がかかってしまう。もっと安価に体力向上のための運動を普及させる方法はないかと考え、インターバル速歩を考案したのです。

さらに、携帯型カロリー計を身に付けて歩くとエネルギー消費量が測定できるシステムも開発しました。このシステムによってジムに行かなくても体力向上のための運動が簡便に実施できるようになり、これまで1万人以上の中高年を対象に、5カ月間のインターバル速歩の効果を検証することができました。

「1日30分、週4日」、週末の集中実施でも効果あり

――なぜ、「速歩」と「ゆっくり歩き」を交互に行うのですか。

インターバル速歩は、個人の最大体力の70%以上に相当する「ややきつい」と感じる速歩と、30~40%のゆっくり歩きを3分間ずつ、交互に繰り返します。

なぜ、ゆっくり歩きを挟むかというと、運動習慣のない人がこの強度で速歩を行うと2分程で嫌になるからです。息が弾み、動悸がし、場合によっては筋肉痛まで起こります。でも、速歩の後、ゆっくり歩きを実施することで、速歩を継続することができます。

標準の歩き方は、1日当たり「早歩きを3分+ゆっくり歩きを3分=6分」を1セットとし、5セット(30分)行いましょう。これを最低でも週4日、5カ月続ければ、先ほどご紹介したような効果が表れてくるはずです。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事