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パワーエックス伊藤社長「日本品質に優位性」 ZOZOでの経験生かし、ものづくりに磨きかける

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蓄電池ビジネスの戦略、「電気運搬船」の勝算は? 伊藤正裕・パワーエックス社長への直撃インタビュー。

パワーエックスの伊藤正裕社長。蓄電池ビジネスに乗り出した経緯や事業戦略を語る(撮影:尾形文繁)

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パワーエックスを創業した伊藤正裕取締役兼代表執行役社長CEOは、異色の経歴の持ち主だ。インターナショナルスクール在籍時にIT企業を立ち上げ、事業売却先のファッション通販オンラインサイトを運営するZOZOでは「ZOZOSUIT」などの画期的な製品開発にかかわった。そして2021年に創業したのがクリーンエネルギー分野のスタートアップ企業パワーエックスだ。蓄電池の製品開発からEV急速充電ステーション、電力小売販売まで、「垂直統合型」のビジネスをわずか3年半で立ち上げた。さらに、浮体式洋上風車で発電した電力を船で運ぶ「電気運搬船」の実現に邁進する。世界でも類を見ないエネルギーテックビジネスの一部始終を聞いた。

――なぜ、蓄電池ビジネスに乗り出したのですか。

当社設立(2021年3月)以前、ZOZOでCOO(最高執行責任者)を務めていた時分に、「電気運搬船」というアイデアを思いついた。電力事業の課題について考え、将来、浮体式洋上風力発電の実現に際しての最大の課題が海底送電線の敷設だという結論に至った。日本は遠浅の海が少なく、海底送電線を引くのが難しい。ならば、専用の船に大量の蓄電池を積み、洋上風車から生み出された電力を貯めて、需要地に運搬すればいいのではないかと。

当時、蓄電池についてたくさん勉強した。さまざまな種類の蓄電池の中で、電気運搬船の実現には、エネルギー密度が高いリチウムイオン電池しかないと判断した。いくつかの論文を読む中で、数年内にストレージパリティ(蓄電池を導入した場合とそうでない場合を比べた時のシステムコストの損益均衡点)を切る可能性がきわめて高いという結論になった。

そして2021年3月に当社を設立し、同年8月に事業内容を発表した。2022年5月に(スタートアップ企業として初期の資金調達フェーズである)「シリーズAラウンド」の資本調達を発表、国内で大規模蓄電池工場を建設する計画を明らかにした。この時には、蓄電池の種類としては、リチウムイオン電池、それも安全性の高いリン酸鉄系で行こうと決めていた。

VCに断られるも、多くの大企業が賛同

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