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異色企業「パワーエックス」蓄電池ビジネスの全貌 独自の事業モデル磨き上げ、脱炭素市場に旋風

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蓄電池で業界に旋風を巻き起こしているスタートアップ「パワーエックス」。その事業の中身と戦略とは。

パワーエックスの伊藤正裕社長(左、撮影:尾形文繁)。右上は同社が事業化を狙う「電気運搬船」(写真:パワーエックス)。右下は主力の大型定置用蓄電池Mega Power(写真:筆者撮影)

特集「パワーエックス 成長戦略の全貌」の他の記事を読む

すい星のごとく現われた蓄電池スタートアップのパワーエックス。蓄電池の製造から、EV充電ステーション、電力小売事業まで展開、「電気運搬船」の実現を目指す。同社の戦略を徹底検証する。

【配信予定】
9月25日配信 異色企業「パワーエックス」蓄電池ビジネスの全貌
9月26日配信 INTERVIEW:パワーエックス伊藤社長「日本品質に優位性」
9月下旬配信 導入ブームの蓄電池、問われる制度設計と事業の質
10月上旬配信 世界初「電気運搬船」の勝算

設立3年で大型の蓄電池組み立て工場を稼働

脱炭素化をめぐる中国や欧米との競争で劣勢に立たされている日本。かつてお家芸だった、太陽電池、半導体、蓄電池といった重要な製品分野で軒並みシェアが低下し、ものづくり大国の立て直しが急務となっている。そうした中、彗星(すいせい)のごとく現われたのが、「自然エネルギーの爆発的な普及を実現させる」というミッションを掲げた製造業系ベンチャー企業のパワーエックスだ。

2021年3月の会社設立からわずか3年で、大規模な蓄電池組み立て工場を岡山県玉野市で稼働させた。

現在、導入ブームが起きている電力系統用の大型蓄電池では、アメリカのテスラや中国ファーウェイの向こうを張って価格競争力のある製品を投入。電気自動車(EV)の充電インフラ分野では、日本でもトップレベルの高出力の蓄電池併設型EV急速充電システムを開発し、「道の駅」などの交通の拠点に急速充電ステーションを展開している。

大企業が求める再生可能エネルギー由来の電力を提供するために電力小売ビジネスにも参入した。さらには、世界初となる「電気運搬船」の実現を目指す。

一般にはあまり知られていないが、パワーエックスには、金融や電力、海運、造船、電機、物流といった各分野の有力企業が出資し、事業提携も進んでいる。パワーエックスのトップを務める伊藤正裕社長は、かつてファッション通販オンラインサイトZOZOで最高執行責任者(COO)を務め、「ZOZOSUIT」を生み出すという、一見畑違いの経歴の持ち主。その伊藤氏は、「日本のものづくりの復活をリードする」と意気込む。

パワーエックスの蓄電池工場や導入先企業への取材、伊藤氏へのインタビューなどを通じ、成長戦略の全貌を明らかにする。

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