どういうことか。仮に、名目為替レートが1ドル=100円のまま、アメリカの物価上昇率が0%、日本の物価上昇率が10%となったとしよう。すると、1ドルには100÷1.1=90.9円ほどの価値しかないことになる。実質的な円高である。
その結果、A産業以外の貿易財産業は自国通貨高の影響を受け、輸入品との競争に負けてしまう。せっかく国内で需要が増えたにもかかわらず、その恩恵を受けられないばかりか、むしろ悪影響を被ることになる。また、A産業の輸出ブームによる貿易黒字の拡大も自国通貨に上昇圧力をかける。それもその他の貿易財の輸出競争力を低下させる。
では、台湾で実際に「オランダ病」は起こっているのだろうか。まず半導体輸出の状況を確認しよう。
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