設計や材料でも世界トップ級。台湾半導体産業は製造のTSMCだけではない。
台湾海峡の緊張が高まっている。中国が台湾統一(併合)に向けて武力侵攻する日がくるのか。7月31日発売『週刊東洋経済』の特集「台湾リスク」では、日本企業に迫り来る台湾有事の全シナリオを示した。
台湾の半導体産業と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、TSMC(台湾積体電路製造)が覇権を握る受託製造(ファウンドリー)だろう。そして半導体生産において重要な分野である設計でも、台湾勢の存在感が高まっている。
台湾の調査会社・トレンドフォースによれば、半導体の設計に特化し自社工場を持たない「ファブレス」半導体メーカーの世界トップ10社に、2022年、3社の台湾企業が入った。これまで米中のファブレス企業が上位を独占していただけに台湾勢の活躍が目立っている。00年に14%だった設計分野における台湾企業の世界シェアはじわじわと上昇。22年には22%を占めるようになった。
6兆円規模の一大産業
半導体の設計とは、製品にどのような機能を持たせるか決め、そのための回路を作り込むプロセスである。高性能な半導体を作るには、複雑な設計技術が必要になる。
台湾ファブレスメーカーの生産額は足元でおよそ6兆円規模。TSMCが牽引する受託製造の市場には及ばないが、その約半分の市場規模であり、台湾にとって一大産業だ。
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