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メタバースやゲーム空間は人にとって真の世界だ ユクスキュル『生物から見た世界』とAIの知能③

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ユクスキュル/クリサート『生物から見た世界』日高敏隆、羽田節子 訳
ユクスキュル/クリサート『生物から見た世界』日高敏隆、羽田節子 訳/岩波文庫

生物学者・ユクスキュルによって1933年に書かれた『生物から見た世界』は、スマートシティーやメタバースの設計にも関連性がある。

本連載で前回までに言及したとおり、環世界とは生物が持つ主観世界のことである。もちろん人間も例外ではなく、人間の環世界を持っている。

高度な生物ほど、自らの置かれた環境を自ら変えていく。このときに重要な役割を果たすのが、その生物が持つ環世界である。なぜなら、生物は自らの環世界を自分の嗜好に合ったものにしたいと願うからだ。

例えば人間は、大規模に自然を変化させ、自らの環世界をデザインする力を持つ。もちろんアリや鳥だって、土を掘ったり枝を集めたりと自然を変化させて巣を作る。しかし人間の場合は、現実世界で住居や都市を造るのみならず、新しいバーチャルな空間、メタバースまで構築しようとしている。

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