トヨタ産業技術記念館、「来場者急増」のワケ 入場料500円でここまで楽しめる!

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展示の後半は、繊維機械事業を基盤として車づくりの世界に進出したトヨタの歴史を見せる「自動車館」。欧米視察を通して車時代の到来を予感した豊田喜一郎が、織機工場の一角で小型エンジン開発に没頭した姿から、初の量産車「トヨダスタンダードセダンAA型」を生み出すまでを、模型や人形、マンガも使って紹介する。

体育館のような吹き抜けの大空間に出ると、クラウンやカローラ、セルシオといった歴代の名車とともに、プレス機やロボットアームなどの生産設備も展示され、自動車工場さながら動き出す。

「カイゼン」「ジャストインタイム」などの言葉に代表されるトヨタ生産方式のひとつは、「異常が発生したら、機械がただちに停止して、不良品をつくらない」という考え方だ。それは100年以上前に佐吉が実現していた、糸が切れたら自動停止する織機づくりの思想から連続していることに気づかされる。

「研究と創造の精神、モノづくりの大切さという『トヨタスピリット』を多くの人に感じてもらうことが、この館の目的のひとつなのです」と、加藤マネジャーは誇らしげに話した。

口コミサイトで「マッサン」越え、「殿堂」入りも

観光旅行サイト「トリップアドバイザー」の口コミを読むと、こうした狙いが外国人にも受け入れられていることがわかる。

「機織りの展示にこんなに時間をかけ、興味を持って見ることになるとは思わなかった。大人も子ども十分楽しめる施設」「車に焦点を当てたトヨタのミュージアムはもうひとつあるが、こちら(産業技術記念館)を見ればよりトヨタの完全な姿がわかる」「豊田家の精神がよくわかった。勤勉であること、夢を追うことの大切さを気づかせてくれた」。

同サイトの「外国人に人気の日本の観光スポット」ランキングでは2014年に28位、2015年に27位で、同サイトが5年連続で「エクセレンス認証」をした施設として、「殿堂入り」を果たした。また、7月に発表された「行ってよかった!工場見学&社会科見学」ランキングでは昨年の2位から1位へ。NHKの朝ドラ『マッサン』の舞台ともなった北海道の「ニッカウヰスキー余市蒸留所」を追い抜いての快挙だ。

次ページでは今後の課題は?
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