コメだけじゃない!食材不足からの「和食危機」 「令和のコメ不足」に陥っている4つの要因

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どちらの記事も、高度経済成長期の赤潮による富栄養化対策として、排水処理能力を上げ過ぎたことを問題視し、各地の漁協が処理能力を下げたことも伝えていた。栄養塩を増やしても、今は不作なのである。日経は合わせて海水温の上昇も要因の1つとしていた。

昆布やカツオ、サンマの不漁も、たびたび報じられる。昆布については、産経新聞ウェブが3月18日、国産昆布生産の約9割を占める北海道で、ここ20年で生産量が半減したと報じた。要因は漁業者の高齢化や昆布の減少で、海水温の上昇も、要因の1つではないかとしている。

梅も今年は暖冬などが原因で、不作が報じられている。さらに豆腐や納豆、醤油、味噌といった和食の核になる食材の大豆も、自給率が長年1割を切っており、農水省も生産量を増やす取り組みをしているが、輸入に頼らざるを得ない状況は続く。

暑さに強い品種で対応する生産者も

このように、コメ以外にも和食の要となる食材の多くが、不足する状況が続いてきたのだ。もちろん、すでに対策を打っている現場もある。

コメについては7月30日放送の『WBS(ワールドビジネスサテライト)』(テレビ東京系)で、暑さに強い品種の作付けを増やした生産者が紹介されている。おにぎり協会の中村代表理事は「地球温暖化にとどまらず、さまざまな需要に対応した生産効率が高い品種が生まれています」と話す。

持続可能な社会を築き、来るべき未来の食料難も防ぐことが、SDGsの目標の1つである。環境意識が低いと言われる日本の私たちも、すでに足元まで迫った食料難時代を前にひとごとのように構えてはいられない。改めて、自分たちに何ができるか、これから何を食べ続けたいのか、考えなければならないのではないだろうか。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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