「南海高野線の終点」極楽橋、知られざる駅前風景 ケーブルカー乗り継ぎが中心、改札を出ると…?
電車側のホームは櫛形の3面4線と意外に広く、ターミナルらしさを感じさせる。対照的に改札口はコンパクト。駅の外へ出て不動谷川に沿った道を下っていくと、赤い欄干と橋脚が目を引く、駅名の由来となった極楽橋がかかっている。
この橋を渡り、不動坂を上っていくと不動明王をまつった清不動堂を経て、女人堂へ至る。女人堂は高野山駅前発のバスが専用道を通り最初に到着する停留所がある場所だ。
同駅を管理する高野山・河内管区高野山駅長の丸谷紀文さんは「やはり極楽橋は通過点になってしまいます」と語る。「極楽橋で改札を出る人はハイキングの格好をした方で、最近はインバウンドの方も目立ちます。あとは橋の写真だけを撮りに行く方とか……」。
駅は基本的に泊まり勤務の助役・係員の2人体制で、日中は高野下から応援の駅員が来るという。橋本方面の最終電車は21時47分。周辺にはコンビニどころか、民家が一軒もない。
駅員の食事などはどのようにしているのか。丸谷駅長によると、出勤時に2食分持ってきたり、カップ麺を常備しておいたりしているほか、難波から特急で弁当を届けてくれるサービスを利用しているという。
通過するだけではもったいない
南海電鉄は2020年7月、「はじまりの聖地、極楽橋。」をコンセプトに駅のリニューアルを実施した。電車側では高野山ゆかりの動植物などを描いた「天井絵巻」、ケーブルカー側では縁起物の「宝来天井絵」が訪れた人を出迎える。
利用客に「願掛羽」に決意や願いを書き込んでもらい、絵馬のように飾るスタンドや、手水舎も用意。改札外に出られるように同駅を区間内に含む乗車券で途中下車ができるようにした。丸谷駅長は「ぜひ足を止めて、天井を見上げたり、赤色が鮮やかな極楽橋を写真に撮ったりしていただきたい」と話す。
不動谷川にかかる極楽橋は「聖域と俗世の境界」と伝わる。乗り継ぎを1、2本遅らせ、改札を出て清流沿いを散策してみるのも、高野山観光の通な楽しみ方の1つと言えそうだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら