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「1人勤務」の養護教諭、命に関わる緊迫感の中で増え続ける業務に負担大 倍率7倍かつ経験者多数、潜在人材の活用は

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1人勤務では休みも取りづらい。「学級担任の先生が休んだ場合、隣のクラスの先生などが補講をしたり自習プリントを配ったりしますが、養護教諭は自分が休めば保健室を閉じるしかありません。ほかの先生方も困ってしまうため、1日休むにもとても気を遣うのです」とにこさんは語る。

この状況を回避するため、計画年休の場合は看護師を手配する自治体もあるというが、やはり数は少ない。にこさん自身、こうした方法を知ったのはSNS発信を始めてからだという。

少人数だからこそ自治体を超えた横のつながりが肝に

「発信活動を通じて、養護教諭同士の横のつながりの重要性をますます感じています。現在、養護教諭は全国で約4万人。100万人いる教諭の中に占める割合は少なく、文部科学省の『働き方改革事例集』をはじめ、養護教諭に関する取り組みや記載はごくわずかです。

予算も後回しで、『誰が私たちの働き方を考えてくれるのだろう』と悲しくなります。国や自治体のスピード感で間に合わないことを、情報共有やネットワークで補うことが私の役目だと思い、日々発信を続けています」

現在はインスタグラムを中心に、公式サイトやYouTube、note、voicyなど幅広い媒体で発信を行なっているにこさん
(写真は本人提供)

実は、養護教諭が守っているのは児童生徒だけではない。「子どもを見守る大人たちの健康が児童生徒の健康につながる」という思いのもと、教員向けの保健だよりを作成したり、教員のメンタルヘルスケアに取り組む養護教諭も少なくない。

教員養成課程で手薄になりがちな学校保健について、現職教育として校内に啓蒙するのも役目の1つだ。現在の日本の「衛生」を整えた要素の1つには、「学校での指導を主導してきた養護教諭の先輩方もいると思う」とにこさんは語る。

「子どもと関わる仕事には、やはり特別なやりがいがあります。目に見える売上や昇進などの成果はなくても、子どもの成長を見守ることは何より尊いです。私は、まだ自分を冷静に見られる時期に『攻めの休養』として退職を選びましたが、養護教諭の仕事には『いつかまた現場に戻りたい』と思えるほどの面白さと奥深さがあります。とはいえ、今働いている皆さんもまずは自分の心と体の健康が第一。全国の養護教諭を本当に応援しています」

(文:長尾康子、編集部 田堂友香子、注記のない写真:YsPhoto / PIXTA)

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