女性はなぜ出世しないのか 悪いのは男?女?

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また、女性の「専門職志向」の強さも、昇進のネックとなっている。

女性の課長職相当割合が16%に上り、女性進出で日本の先頭に立つリクルート。同社が女性の登用を進めるうえで直面している課題の一つは、女性管理職候補の不足だ。

「管理職として昇進するためには、幅広い分野の経験が必要。ただ、女性は専門職志向が強く、その条件を満たしている候補がまだ少ない」と人事支援室・グループ人事部の花形照美エグゼクティブマネジャーは指摘する。

ただし、こうした女性の意識は、男性中心社会が生み出しているともいえる。

中でも悪影響が大きいのは、長時間労働だ。女性にとって体力的にハードなうえ、既婚女性にとっては家事や育児の負担もある。帰宅が遅い男性側も、家事・育児に時間を割けない。日本の男性が家事・育児に費やす時間は1日当たり1時間にすぎず、ほかの先進国に比べて突出して低い。「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という役割分担の考えが日本には色濃く残っている。

若い世代になるにつれ、共働きへの理解、夫の家事・育児参加は高まっているが、その壁になっているのが、社会インフラの不備だ。

その筆頭が、保育所の不足。保育所に入れない待機児童は、約2万5000人。実際はこの数字を上回るといわれる。待機児童のうち、8割以上は都市部に集中。ここ数年は、会社のオフィス内に託児所を設ける企業も増えているが、子どもをオフィスまで連れていくのが難しく、ほとんど使用されていないというケースもある。

クオータ制を真剣に議論するとき

女性の政治参画という点でも、日本は遅れている。日本の国会議員の女性比率は11・3%。これまた世界最低レベルだ。これでは女性の意見も反映されにくい。

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