終わりなき危機 君はグローバリゼーションの真実を見たか 水野和夫著 ~第三の知的「冒険」で示す「成長病」は没落への道

その意味で本書は、博覧強記の著者が膨大な文献や統計の整理・検討をいとわずに残された真実の発見に挑んだ第三の「冒険」である。近代(=成長)が続くための市場のフロンティアは、もはやアフリカを除き、陸にも、海にも、そして「電子・金融空間」にもないと著者は言う。それは歴史学者ブルクハルトが説いた「歴史における危機」が進行している証であり、理念として無限である「カフカの帝国」が閉じる数十年後には、政治学者カール・シュミットが定義する「世界史(=近代)」も終わると著者は警告する。

著者が本書で摘出したグローバル化の真実とは近代に固執するイデオロギーであり、時代の流れに逆らう「成長病」は没落への道へ続く。没落を回避するために、著者は大哲学者や大神学者の決断に期待するが、むしろ評者はポスト近代化を展望する著者の第四作に期待したい。

みずの・かずお
内閣府官房審議官(経済財政分析担当)。1953年生まれ。早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了。八千代証券、国際証券、三菱証券、三菱UFJ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、埼玉大学大学院経済科学研究科客員教授を経る。

日本経済新聞出版社 2940円 536ページ

  

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