こんな言葉で叱られたい 清武英利著

こんな言葉で叱られたい 清武英利著

心に響くような説得力のある叱りの言葉は、叱られた人の考え方や行動、人生をも変えることがある。よく職場で頭ごなしに部下を叱る上司や、感情的になって叱る光景をみる。そんな叱り方では叱られる人にとってのその言葉は右から左へ流れて消えていくだけだろう。何も得るものがないとわかってしまうからだ。

人の心に残り、やる気を起こす叱り方とはどんなものか。本書は、読売巨人軍球団
代表兼編成本部長を務めている著者が著したもの。野球界でみてきた監督と選手の向き合い方、叱り方を記述している。野球ファンであれば、野球界の裏側も垣間見えるので
興味深いだろう。

(1)「下を向くな!」(2)「全力でやったものは心に残る」(3)「我々は戦う武士であり、勝負師だ」といった3章から構成されている。実際に選手や監督との間でおこったエピソードを再現しながら記している。なかでも印象深いも4例ほどを紹介したい。

「人生は他動的である」

中西太元監督が、2009年春の宮崎キャンプに臨時打撃コーチとしてやってきた。中西元監督は打点王やMVPなど数々のタイトルを獲得している伝説の大打者である。29歳で西鉄ライオンズの監督になり、その後もコーチを務めている。が、腰は低い。自分で道を切り開いてきたとみえる中西氏が「人生は他動的だ」という哲学を持っているという。

江本孟紀が以前「ベンチがアホやから野球がでけへん」と言ったと報じられ(実際にはスポーツ記者がつくった言葉)、中西氏がバッシングされた。そのときいった言葉である。

「一時の不運を嘆いたり、不遇を恨んだりすることはない。その不運こそが人間を磨き、跳ね返す強さを生む活力源ではないですか」。つい目の前の不運な事柄に翻弄されがちだが、この考え方であれば、ちょっとしたことでたじろぐ必要はないだろう。

「だから、もう一度投げてみろ」

広島戦でのこと。先発した東野峻は、四試合ぶりに五勝目を挙げたが、8安打5失点の散々な出来であった。当時の原監督はカンカンに怒っていた。その日の夜、食事会場で原監督は東野へこう言った。

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