スーパーショットは努力の証し

プロゴルファー/青木 功

 前にこのページで、王貞治さん、同い年の日野皓正さん、そして私がホストを務める「ザ・レジェンド・チャリティプロアマトーナメント」を毎年5月に開催しているとご紹介しました。
 そのチャリティ基金は、今年は東日本大震災のために使わせて頂き、過日、3人の大会ホストを代表して岩手、宮城、福島の3県にお邪魔してお渡ししてきましたが、往復の新幹線の中で、この大会の実行委員長、故佐々木力さん(享年60歳)と一緒に来れたらもっと幸せだったに違いないと思い、窓の景色を眺めながら涙がほおを流れるのを感じました。この大会は、一応世間で認められるようになったわれわれが、ほんの少しでも世間のお役に立ちたいと始めたものですが、スポンサーとの交渉やら一般の方の窓口、それに大会の進め方など、すべての裏方仕事を一手に引き受けてくれていたのが親友の佐々木力さんでした。彼は会社の社長さん。忙しいはずなのに、その忙しい合間にトーナメントを毎年うまくまとめてくれていました。本当に自分は、いい人に巡り合って人生を過ごしてるって感じることばかりです。

自分自身も、近くにゴルフ場がありゴルフに巡り合えたのも神に感謝だけど、中学の同級生であるプロゴルファー鷹巣南雄が当時所属していた鹿野山に、巨人軍の王さんと柴田さんが冬の合宿に来て、知り合ったのも幸運の一つです。
 その王さんたちと朝晩一緒に走ったんですがね。足腰の強さでは間違いなく野球選手の勝ちなんですが、生まれながら負けず嫌いの自分は、これまで人に「参りました」なんて言ったことがありません。人より早く起きて一走り、それで皆とまた走るわけですから、そのときは勝てません、が、そんなことを何年か続けているとふくらはぎが人並み以上に太くなって、今でも45センチメートル、現役バリバリのときは48センチメートルもあって、これが大きな財産になったんですね。プロゴルフが自分の商売ですが、体作りを競う相手は野球選手やプロボクシングの選手を対象にしてたんです。同じスポーツマンに負けるわけにはいかないってね。この気持ちがプレッシャーのかかるワンショットに生きるわけです。あんなに練習したのに、ここで踏ん張れないわけがない。そんな気持ちがあるから、劇的なショットが生まれたりするわけです。

最近のプロゴルフトーナメントで気になることは、大会初日や二日目に棄権する選手が多いことです。プロゴルファーは見せてなんぼ、「自分を見に来てくれる」そう思ったら簡単に棄権なんかできません。それに体調不十分、そんなときこそ体や心を励ましながらプレーできるよう努めることが、やがて優勝争いのときに幸運と思えるようなスーパーショットが生まれるのです。プロゴルファーは苦しいとき、どう過ごすかで将来が決まるのです。サッカー選手より速く走る、そんな気持ちの選手が出てきてほしいね。

プロゴルファー/青木 功(あおき・いさお)
1942年千葉県生まれ。64年にプロテスト合格。以来、世界4大ツアー(日米欧豪)で優勝するなど、通算85勝。国内賞金王5回。2004年日本人男性初の世界ゴルフ殿堂入り。07、08年と2年連続エージシュートを達成。現在も海外シニアツアーに参加。08年紫綬褒章受章。
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