「地方に多いホームセンター」が都会進出を狙う訳 人口減少が進む中、大手を軸に再編が進行

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カインズは近時、イトーヨーカ堂へのPB商品供給、近鉄百貨店とのフランチャイズ契約といったアライアンスを進めている。この目的は都市型小売業との連携により、大都市住民の住生活を把握する、ということにある。

今はまだ大都市圏に出店できるフォーマットを持っていないが、都市型小売業とのアライアンスにより、マーケティングを進め、いずれは自前出店で進出するために情報収集を行っているのだという。郊外の戸建て住民とは異なる大都市住民のニーズを蓄積したうえで、大都市の攻略に臨むという用意周到な戦略の成功確率はかなり高いものとなるだろう。

着々と準備を進めるカインズ

地方、郊外の戸建て生活者の家まわり需要を取り込むことで、4兆円市場を創出したホームセンター業界も、地方、郊外から進む人口減少によって飽和から縮小へと向かうことは避けられない。

直近の上場ホームセンター各社の動向をみると、大手企業のほとんどが直近期減収、減益という状況となり、既存店売上動向もマイナス月が多くなっている。

寡占化と淘汰によって生き残りを図る企業がほとんどである中、最大手カインズは既存市場における圧倒的競争力を磨きつつ、加えて、ホームセンターにとっては未開拓の大都市市場に進出しようと着々と準備を進めている。数年後の業界で、カインズがどのくらいの存在感になっているか、大いに注目している。

中井 彰人 流通アナリスト

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なかい あきひと / Akihito Nakai

みずほ銀行産業調査部で小売・流通アナリストに12年間従事。2016年同行を退職後、中小企業診断士として独立、開業。同時に、慶應藤沢イノベーションビレッジでベンチャー支援活動を開始、近年は地方創生支援活動も実施中。並行して、流通関連での執筆活動を本格化し、TV出演、新聞、雑誌などへの寄稿、講演活動などを実施中。2020年よりYahoo!ニュース公式コメンテーター、2022年Yahoo!ニュースオーサーを兼務。主な著書「図解即戦力 小売業界」(技術評論社)。現在、東洋経済オンライン、ダイヤモンドDCSオンライン、ITmediaビジネスオンライン、ビジネス+ITなどで執筆、連載中。

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