
ベルトコンベヤ化する学校
「学校はベルトコンベヤみたいだ」
ある副校長から聞いた言葉だ。学校では行事や生徒指導について、1つが終わったと思うと、またすぐ次のものがやってくるので、どうしても目の前のことでいっぱいいっぱいになりやすい。
それに、多感な子どもたちの集まりで、予測不能なことも多々起きる。次々起きることに順次対応となりやすく、少し立ち止まって見つめ直したり、改善策を練ったりする機会は少ない。
企業人もそれぞれで大変だろうが、学校は子どもたちを相手にしているので、マネジメントや改善ではそうとう難易度の高い組織、業界と言えると思う。先生たちはよく「なまもの」を相手にしている仕事、と表現するが、その難しさをまさに物語っている。

教育研究家、一般社団法人ライフ&ワーク代表
徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー。主な著書に『校長先生、教頭先生、そのお悩み解決できます!』『先生を、死なせない。』(ともに教育開発研究所)、『教師崩壊』『教師と学校の失敗学』(ともにPHP)、『学校をおもしろくする思考法』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中
(写真は本人提供)
しかし、こうした特徴が学校の多忙をさらに悪化させる悪循環にもなっている。
かつてトヨタ自動車が世界中を驚かせたことがある。それは、工場の一従業員にベルトコンベヤをストップさせる権限を与えていたことだ。問題があれば、それをいちばんわかっている人がストップをかけて、改善案を協議する。のちに“kaizen”は世界共通語にまでなった。
長時間勤務を続けることは子どものためにならない
学校はどうだろうか。たまにはベルトコンベヤを止めて、考えられているだろうか。「子どもにとっての夏休み=教職員にとっての休日」ではないとはいえ、夏季休業中の学校は、多少ゆとりがある。2学期以降の改善策を練る一大チャンスだ。