銀鮭に納豆、味付けのりにおしんこをお供に、白米をパクパク食べて、おあげとわかめのみそ汁で流し込む。古き良き和朝食の定番を、家で魚を焼く手間を考えると、手頃な価格で最寄りの和食ファストフード店で扱ってくれているのは、ありがたい限りです。
大手牛丼チェーン4社全てが、朝メニューとして鮭定食を取り扱っているので、食べ比べてみてもおもしろいかもしれません。
逆張り戦略で同業他社との差別化
この日筆者が利用したのは、住宅とオフィスビルが混在する古い街にある路面店です。
最寄り駅から徒歩10分ほどの裏通りにあるものの人通りは多め。20席ほどの小さな店内には所狭しとテーブルが並んでいます。平日の朝9時にもご近所さんとおぼしき老夫婦や、近隣オフィスで働いているであろうサラリーマンなど、常連さんっぽい人たちが朝食を食べていました。
カウンター席を増やせば席数を増やせるのに、あくまで4人掛けのテーブルを中心にレイアウトされた店内には、「なか卯」のコンセプトが滲み出ています。この店舗以外でも「なか卯」って駅からちょっと離れた立地でゆっくりできるお店が多い気がします。
牛丼チェーンといえば、駅チカの店舗に回転率を重視したカウンター席を並べ、薄利多売のビジネスモデルというイメージがありますが、「なか卯」は駅からちょっと遠くて、他のお店よりもうちょっとゆっくりできる雰囲気があるんですよね。
そして価格設定も若干お高め。「モスバーガー」は、同業他社との差別化と地域密着を基本戦略としているのですが、それに近い方針で運営しているように感じます。
もともとは、1969年に大阪で創業した「なか卯」ですが、実は2010年に、「すき家」を筆頭に多くの外食チェーンを運営する「株式会社ゼンショーホールディングス」のグループ企業となっています。同じ業態でも戦略を分けることで、共食いを回避しているのかもしれません。
樹脂製のウォーターポットにたっぷりと氷が詰まった緑茶にも「長居してもいいからね」という無言のメッセージを感じてしまいます。冷え冷えの緑茶をおかわりしながら、満腹になった胃のあたりをさすりさすり、まったりと窓の外の通りを行き交う人々を眺める朝です。
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