西武が「赤坂プリンス跡地」を切り離す戦略的狙い グループ最大資産の売却額は3000億円以上か

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西武がガーデンテラスの売却を急ぐのは、施設の運営が不調なためではない。「赤プリ時代よりも事業利益は上回っている」と、広報担当者は説明する。

実際、ヤフーが2021年に一部退去してもデジタル庁がすぐに入居するなど、オフィスフロアの需要は旺盛だ。2024年5月時点での入居率は、オフィスフロア、商業テナントともに100%である。

ではなぜ、西武グループを象徴するような大規模物件を経営から切り離すのか。それは将来成長を見据えた、経営変革の意思があるからにほかならない。

資産の「保有」から「回転型」へ

多くの鉄道会社がそうであるように、西武も資産の保有を基本前提とするビジネスモデルを踏襲してきた。土地を仕入れて開発し、そこにホテルや賃貸ビルなどを建てて安定収益を得てきた。とくに「プリンスホテル」を中核とするホテル・レジャー領域が事業柱の1つとなっている。

だが、このビジネスモデルはコロナ禍で大打撃を受ける。主力の鉄道の利用客数が激減しただけでなく、強みであるはずのホテルやレジャー施設も大きなダメージを負った。

そこで、ここ数年は不動産を保有し賃料を得るのではなく、取得した不動産の価値を高めて売却する「回転型」のビジネスモデルへの転換を模索してきた。同時に、保有資産を圧縮して経営効率を高める「アセットライト戦略」を推進してきた。

今年5月に策定した新中期経営計画でも「不動産事業を核とした成長戦略」を掲げ、その一環として「不動産回転型ビジネス」の強化を表明した。ガーデンテラスの売却は、その回転型ビジネスの第1弾という位置づけになる。

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ただ単に、資産を売却してキャピタルゲインを狙うだけでなく、アセットマネジメント機能を持つ資産運用会社を設立し、私募ファンドや私募REIT(不動産投資信託)の運用を通じた不動産運営にもかかわっていく計画だ。

前出の小川氏は、「西武グループが保有するすべての物件が、聖域なく流動化の検討対象となる」と強調する。

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