トヨタ・マツダ・スバル「新エンジン開発」の真意 マルチパスウェイに込められた各社の戦略

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
開発中の1.5L直列4気筒エンジン(写真:トヨタ自動車)

続いてはトヨタ。発表したのは大幅なコンパクト化を図った直列4気筒ガソリンエンジンだが、驚いたのは会場に、すでにそのエンジン自体が展示されていたことだ。

コンセプトは、BEVを起点にPHEV、HEVを考えた際に必要な内燃エンジン。例えばBEVにおいては、薄型バッテリーや小型化した空調ユニットなどを使い、BEV最適設計を推し進めれば、フードが低くスタイリッシュなクルマを作りやすくなる。昨年の「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(モビリティショー2023)」でお披露目された「レクサスLF-ZC」が、まさにその具現化された姿だ。

トヨタが考えているのは、従来のように内燃エンジン車を起点に電動車を考えるのではなく、その逆。こうしたパッケージングなどのメリットを最大限に活かしながら、航続距離や充電インフラ不足といったBEVの弱点を、内燃エンジンで補うクルマである。そのためには電動ユニットとの組み合わせを前提に、BEV用の車体にも搭載できる小型エンジンが必要だ、というロジックだ。

新エンジンでは大幅な小型化を実現

そんな背景から開発されているエンジンは1.5Lの自然吸気とターボ、そして2.0Lターボの3種類の直列4気筒ユニットである。いずれもショートストローク化によって全高を抑えており、1.5L自然吸気エンジンは既存の直列3気筒1.5Lに対して体積、全高をそれぞれ10%低減。1.5Lターボは同等の出力となる現行2.5Lに対して、やはり体積を20%、全高を15%も低減している。

現行の1.8Lエンジンを新型1.5Lに置き換えた場合の違いがわかりやすく示されていた(写真:トヨタ自動車)

会場には現行「プリウス」の1.8Lエンジンを、この新型1.5Lに置き換えたモデルも置かれており、見ればどれだけエンジン高が下がるか、つまりボンネットを低くできるかは一目瞭然だった。LF-ZCの極端に短く、低いボンネット内にも、確かにこれなら収まるかもしれない。

実はエンジン単体で使うことも排除されてはいない。将来、エネルギーが電気と水素に収斂したならば、電気はBEVに使い、水素はそのまま燃焼させて、もしくはCO₂と結合させてe-フューエルにして、内燃エンジンに使えばカーボンニュートラルへの道が容易になるとトヨタは見ている。新車の20倍とも言われる現保有車の存在を考えれば、この道も重要だ。

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事