一方、東京の中心部では商業ビルの中に居住する形、つまり「商売」と「住むこと」とを一緒に営む、あるいは、自分でマンションを一棟建ててそれを運営しながら都市部で暮らす、そんな選択をする人が増えそうだ。
「東京」の価値は、五輪が開催される2020年までは絶対に落ちないという神話があるので、できるだけ早いタイミングで「東京」にアプローチする、というのが全体としての大きな流れだ。特別なご縁がない限り、郊外エリアに家を買おうという人は極めて少なくなるだろう。
大家さん稼業ができる人だけ、東京の中心に住める
郊外に家を所有している人でも、狭くてもいいから中心部に移り住む人が増えていくのではないだろうか。土地の面積はサイズダウンするものの、そこに5階建てを建て、一階で商売を手掛け、2階には外国人を住まわせ、3階から5階で自分たちは生活するというような暮らしが一般化するのではないだろうか。このような「縦に暮らす」時代が近い将来訪れることで、土地は狭くとも、建物を積層させることでリスクを分散できるわけだ。
グローバルに海外で仕事をする人が増えることで、外国人の受け入れに対してネガティブでない人も増える。外国人を受け入れる賃貸不動産や、一般住宅でも外国人を下宿人にすることで生活資金の足しにするのは当たり前の時代になるのではないか。
また、外国人に住居を提供すれば助成金が出るというような制度が制定される可能性も十分考えられる。これからは、ただ住むのではなく、住むための「経済学」や「マネジメント」が求められる時代なのである。
極論すれば、生活者全員が大家さんになるということだ。家というものがパブリックな存在になり、少なくとも一階部分はお店やオフィスになっていく。ニューヨークのタウンハウスやイギリスのロウハウスとよばれる4、5階建ての家を思い浮かべてほしい。1階や地下は基本的にお店を構え、住民はその上に住んでいる。このような暮らし方が東京でも日常的になりそうだ。
実はこれらは、かつての日本では普通に見られた光景だ。食住が近接あるいは一致し、一階は商店や工場で、家族はその上に暮らすことは決して珍しいものではなかった。
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