こだわり叶える「オーダースーツ」失敗しないコツ ビジネスシーンだけでなく休日着としても人気

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もう1つは、青山にある「Bespoke Tailor Dittos.」。

Bespoke Tailor Dittos.の店内
Bespoke Tailor Dittos./住所:東京都港区南青山4-14-2グランポート南青山2F、TEL:03-6438-9313(写真:Bespoke Tailor Dittos.提供)

ここも創業こそ2009年ながら、スーツの源流である英国的な硬派な仕立てを徹底的に探求した注文服店として、オーダースーツ好きには知られたお店だ。代表である水落卓宏氏は銀座の著名なテーラーや海外ブランドのオーダースーツ部門でキャリアを積み重ねた方で、その妥協のなさはこの業界でも有名。

オーダー形態は2つあり、フルオーダーの「ビスポーク」は、採寸・型紙の作成から縫製・仕上げまですべて水落氏が直に携わり、一針一針フルハンドメイドで行う渾身の一作。ロンドンの著名な注文服店の作品より、はるかに英国的な佇まいが完成する。

Bespoke Tailor Dittos.のスーツ
スーツ上下:「ハウススタイルオーダー」16万5000円~(左)/「ビスポーク」47万5000円~(右) 、いずれも税込み(写真:Bespoke Tailor Dittos.提供)

もう1つの「ハウススタイルオーダー」は、縫製工場のイージーオーダーの範疇ではあるものの、型紙は水落氏のオリジナル。左右非対称の補正を可能にするほか、仮縫いや重要個所を手で縫い上げるオプションもあり、下手なフルオーダーより高レベルに仕上がる。

昨今主流の軽くて薄いイタリア的なものより、シルエットの緩急をしっかり出して耐久性にも勝る本来の英国的な仕立てを望む人に向いているだろう。

縫い手不足や細分化する嗜好への対応など売る側の課題は多いが、当面はオーダースーツのトレンドは続くだろう。スーツが、単に仕事のために着るアイテムから、オーダーを通して楽しむツールへと進化しつつある今、大人のビジネスパーソンにこそ、自分だけの一着を誂える魅力を味わい尽くしてほしい。

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飯野 高広 服飾研究家

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いいの たかひろ / Takahiro Iino

1967年東京生まれ。大手鉄鋼メーカーに11年勤務したのち、服飾研究家として独立。その経歴から特異な存在としても知られ、主に男性の服飾品全般についてビジネスマン経験を活かした視点で解説する。出版においては、紳士靴関連では2010年に出版した『紳士靴を嗜む』(朝日新聞出版)が今日まで版を重ね、紳士服関連でも2016年出版の『紳士服を嗜む』(同)が類書にない濃い内容で好評。WEBやTVにも活躍の場を広げ、TV番組「マツコの知らない世界」に「靴磨きの世界」のガイド役として出演。NHKテレビ「美の壺」では「男の靴」の回に出演、「スーツ」の回でも総合監修を行った。また、専門学校では近現代ファッション史の講義も受け持つ。

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