学級経営の危機「6月」目前、規律やルールだけではNG「クラスの荒れ」への対処法 教室の秩序形成に必要な教師と子どもの関係性
確認のための申し上げておきますが、秩序が整った教室とは、禁止ルールで統制された教室のことではなく、互いの人権が尊重され、良好な関係性が促進される行動等が共通理解されたぬくもりのある教室です。
秩序がほころんでくるとクラスは荒れると考えたほうがいいでしょう。5月から6月に学級が荒れるとしたら、それは学級内の秩序がほころび始めているのかもしれません。教室の荒れは、時間を守らなくなった、整理整頓が行き届かなくなっているなどのことから始まり、やがて言葉遣いが悪くなるなどの姿として表れることでしょう。それらは子ども同士の関係性の悪化につながり、学級経営に深刻な影響をもたらす場合があります。
クラスが荒れてくると教師がやりがちなのが、時間を守るよう注意すること、整理整頓を呼び掛けるなど、直接的に行動の修正をしようとすることです。学級経営に関する研究では、子どもたちのルールを守ろうとする意欲は、教師との関係性や教師がどう見られているかということと関連しているという指摘がなされています。つまり、教室の秩序のほころびは、教師と子どもの関係性のほころびだと捉えていい場合も少なくないのです。
関係性がほころんでいる子どもたちに、「時間を守りなさい」「整理整頓をしなさい」「あいさつをしなさい」と言ったらどういうことが起こるでしょうか。関係性は、さらにほころび、行動の修正どころか悪化が予想されます。最初の学級の荒れを迎えるこの時期、まずは先生方が自分自身の気持ちを落ち着けて、笑顔で教室にいるようにしてはいかがでしょうか。
そして、子どもたちに求めすぎて、注意や叱責が多くなっていないか、子どもたちのできている部分を見落としていないかなどを振り返ってみてはいかがでしょうか。ゴールデンウィークを過ごして、4月に伝えたことを忘れてしまった子どもたちも少なくないはずです。一人ひとりとの信頼関係を確かめながら、リスタートのつもりで丁寧な声かけをしていきたいものです。
(注記のない写真:ペイレスイメージズ1(モデル) / PIXTA)
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執筆:国立大学法人上越教育大学教職大学院教授 赤坂真二
東洋経済education × ICT編集部
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