超意外なキーエンスの新事業「ネット通販」参入か ライバルはMonotaRO?ヴェールに包まれた戦略

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密なコミュニケーションの中で見えた、設計や調達段階でのニーズをくみ取るつもりなのだとしたら――。誰かがウェブサイトを訪問し、注文ボタンを押すのを待つという、ECの「受け身」とも言えるビジネスモデルにはとどまらないかもしれない。

キーエンス本体にとっても、もし商社のような機能を新たに備えるのだとすれば、本業とのシナジーで顧客との関係性をさらに深化させることが可能になりそうだ。

2024年度は売上高1兆円の大台へ

あるいは、既存のECサイトとは一線を画する新しいシステムを作るのだろうか。メイカーズのホームページには、デジタルテクノロジーの力で今より安く安定的に商品を調達できる世界を実現する、という趣旨の説明がある。

新製品のうち約7割が「世界初」「業界初」とされるキーエンスだけに、革新的な戦略を打ち出してくる可能性も高そうだ。

キーエンスが4月25日に発表した2024年3月期の業績は、売上高が前期比4.9%増の9672億円、営業利益が同0.8%減の4950億円だった。純利益は同1.8%増の3696億円で過去最高純益を3期連続で更新。中国市況の悪化でFA(ファクトリーオートメーション)業界が全体的に振るわない中でも、盤石ぶりを見せつけた。

同社は業績予想を公表しないが、2025年3月期に売上高1兆円の大台突破がほぼ確実視されている。超優良企業が流通分野で描く、次なる戦略とは。今はまだ謎に包まれた新機軸から目が離せない。

石川 陽一 東洋経済 記者

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いしかわ よういち / Yoichi Ishikawa

1994年生まれ、石川県七尾市出身。2017年に早稲田大スポーツ科学部を卒業後、共同通信へ入社。事件や災害、原爆などを取材した後、2023年8月に東洋経済へ移籍。経済記者の道を歩み始める。著書に「いじめの聖域 キリスト教学校の闇に挑んだ両親の全記録」2022年文藝春秋刊=第54回大宅壮一ノンフィクション賞候補、第12回日本ジャーナリスト協会賞。

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