坂本弁護士は愛嬌のある営業巧者といったタイプではないものの、小柄で口調も淡々としており、大きな声を出すような印象はない。だが、その時は「部屋中に響き渡るような大声を出したし、机も叩いた」という。
刑事弁護では、場面によっては“剣幕で押す”手法が一定の効果を持つことは事実だ。「確信犯的な部分がまったくなかったわけではないが、感情で大きな声を出した面もある」という。
いったいどんな状況だったのか。坂本弁護士によれば、法務局の職員に「法が求めていないことまで求められたことに腹が立った」そうで、また抗議によって、結局その職員は上司と相談し供託を受け付けた。以後は同様のケースでもすんなり受け付けられるようになったという。
引退後のことは、引退後に考える
弁護士業務のほうは、空白の1年間にボーイのバイトをしていたクラブの顧客に中小企業の経営者が多数いた関係で、中小企業法務の顧問契約が収入を下支えしている。
一方、当初「新人王くらいは狙えるかもしれない」と思っていたボクシングは、4回戦で3勝2敗となったところで大手ジムを解雇され、別のジムに移籍。今も練習は週6日続けているが、プロボクシングは37歳が定年だ。今年34歳なのであと3年で否応なく引退である。引退後の弁護士としてのあり方については、「引退してから考える」という。
弁護士を目指す人に対しては、「自分が迷いに迷っただけに、なぜ弁護士になりたいのか、どういう人間になりたいのかを真剣に考えてほしい」とメッセージを送る。「司法試験のために勉強したことは、弁護士でなければ生きないわけではない。食えなければ辞めてもいい、くらいの気持ちの余裕はあっていいと思う」そうだ。
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