「1~3月期の実質GDP成長率が5.3%に達したのは、物価の下落に由来する要素もある。また、2024年はうるう年であるため、1~3月期の日数が2023年より1日多かった。そのことも(前年同期比の)GDP成長率に影響を与えた可能性がある」
フォーラムでそう指摘したのは、野村グループの中国担当首席エコノミストを務める陸挺氏だ。
中国経済の先行きに関してエコノミストたちに共通するのは、不動産市況のさらなる悪化を最大のリスク要因と見ている点だ。中国国家統計局のデータによれば、1~3月期の住宅販売面積および住宅の新規着工面積は、どちらも前年同期比20%を超える減少を記録した。
「不動産業界は負のスパイラルに陥っている。住宅価格が下がれば下がるほど、消費者の住宅購入意欲は低下する。消費者の住宅買い控えが続けば続くほど、不動産デベロッパーの資金繰りは悪化する。その結果、不動産デベロッパーは新規開発用の土地の購入資金が枯渇し、(土地利用権の売却収入に頼る)地方政府の財政悪化を招いている」(陸氏)
大規模な信用収縮リスクも
それだけではない。「不動産業界の流動性危機が金融市場全体に与える衝撃を軽視してはならない」。上海財経大学の学長を務める劉元春氏は、フォーラムでそう警鐘を鳴らした。
「中国の金融機関の融資は不動産担保が主流だ。(不動産相場の下落により)信用度の高い担保資産がなくなれば、(金融機関の貸し渋りにより)予想を超える規模のクレジットクランチ(信用収縮)が起きるかもしれない」(劉氏)
こうしたリスクが中国経済全体に及ぼす悪影響を緩和するため、野村グループの陸氏は次のような対策を提案した。
「中国政府は、不動産デベロッパーが予約販売した住宅の完成と引き渡しを(政府保証のつなぎ融資などを通じて)積極的に支援し、負のスパイラルの連鎖を抑止すべきだ。そうすることで、不動産市場に対する(消費者や金融機関の)信用が再構築され、政府に対する信頼が高まり、住宅関連の内需拡大にもつながる」
(財新記者:範浅蝉)
※原文の配信は4月19日
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