PHVはエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド機構をベースに、電池だけを動力に使う純電動走行や外部電源からの充電にも対応している。純粋なEVにつきものの電池切れの心配がないほか、エンジンを燃焼効率が最も高い回転域で運転できるため、トータルの燃費も優れている。
そうした長所を中国の消費者に知らしめた先駆者は、EVの最大手でもある比亜迪(BYD)だ。同社の2023年の販売台数は、EVが157万4800台だったのに対してPHVが143万8100台に肉薄。同年に中国市場で販売された全てのPHVの51.3%を占めた。
ここに来てPHV強化を打ち出すメーカーが相次ぐ中、BYDは守勢に回るどころか、競合他社をさらに突き放す構えだ。
最大手BYDは42万円値下げ
BYDは既存車種に年次改良を施した「2024年モデル」を2月から順次発売しており、それらの価格を2023年モデルより平均2万元(約42万円)以上も引き下げている。
同社の祖業は電池であり、車載電池の部材から完成車まで自社で一貫生産できる「垂直統合モデル」を築き上げた。最大手の規模がもたらすスケールメリットも加わり、コスト競争力では他社の追随を許さない。
それだけではない。BYDの創業者で董事長(会長に相当)を務める王伝福氏は、2023年の通期決算の説明会で、同社の第5世代のPHVプラットフォームを5月に発表すると明らかにした。このプラットフォームを採用した新型車は、車載電池とガソリンタンクが満タンの状態から最大2000キロメートル走行できるという。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は4月1日
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