人気青春小説、主人公「成瀬あかり」に中毒者続出! 『成瀬は信じた道をいく』宮島未奈氏に聞く

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『成瀬は信じた道をいく』著者の宮島未奈氏
[著者プロフィル]宮島未奈(みやじま・みな)/小説家。1983年生まれ。京都大学文学部卒業後、地元静岡県で就職。2009年結婚を機に退職、滋賀県大津市在住。21年短編小説「ありがとう西武大津店」で「女による女のためのR-18文学賞」大賞、読者賞、友近賞受賞。同作を含む『成瀬は天下を取りにいく』で23年デビュー。(写真:新潮社)
「わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」──。そんなせりふで始まる物語の舞台は滋賀県大津市。市内唯一のデパート、西武大津店閉店が1カ月後に迫っている。中学2年生の成瀬あかりは、8月3日から閉店まで毎日、西武ライオンズのユニホーム姿で西武へと出かけていく。
だが、一夏を「西武に捧げる」のは野球のためではない。地元テレビが西武閉店までカウントダウン生中継を行うと聞きつけて、毎日映り込みに行ったのだ。突飛な行動だが、成瀬はそれが当然であるかのように淡々とこなす。その目的が明かされる終盤には、読者もすっかり成瀬のペースにのまれている。
この「ありがとう西武大津店」に5編を加えた連作短編集『成瀬は天下を取りにいく』が昨年人気となり、今年、シリーズ続編『成瀬は信じた道をいく』が出版された。
200歳まで生きると宣言、髪の伸び方を検証するため坊主頭にするなど、独自の世界を疾走する成瀬。青春小説ながら大人世代の間でも話題を呼び、都心ビジネス街の書店棚では、美少女のカバーがひときわ目を引く。斬新なキャラクターや痛快なストーリーだけでは説明しきれない“成瀬人気”とは? 著者に思いを聞いた。
成瀬は信じた道をいく
『成瀬は信じた道をいく』(宮島未奈 著/新潮社/1760円/208ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──反響は大きいようですね。

私自身は読者の方の反応をあまり見ないようにしています。確かに好評をいただいているようですが、どんなにいい感想でもずっと見ていると疲れてしまうので。

前作『成瀬は天下を取りにいく』が2024年本屋大賞にノミネートされた関係で今作を読んでくださっている方が多いみたいで、それによる盛り上がりが大きい気がしています。成瀬あかりシリーズとしてまとめて読まれている印象ですね。

前作を読んで楽しかったという人の期待を裏切らないことをすごく意識して書いたので、今回も受け入れられているようなのは純粋にホッとしました。

──読者の期待はどこにあると見ていますか?

やはり成瀬のキャラクターでしょうか。成瀬がこんなことしたら楽しんでくれるかな、というのは意識しました。予測不能な行動の多い彼女ですが、成瀬の思考回路が大枠で感覚として自分の中にあって、これは絶対しないっていうのだけ避けて書くようにはしています。何となくわかるんです、成瀬がやること・やらないこと。もし成瀬が嘘をつくとしたら、それは彼女なりの信念があってのものだし、親友の島崎みゆきが絶対大事など、いくつか譲れない点はある。ただ、恋に落ちるというのはないな、そういう感じです。

──舞台は大津、主人公は超個性派女子・成瀬。2大設定のうち、どちらを先に決めたのですか?

成瀬のほうです。前作に収載した「ありがとう西武大津店」でR-18文学賞を受賞したのですが、その前に3回落選が続いていたので、今までと違うことをやらなければという意識がありました。

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