3日に1日夫が殺人で検挙、「配偶者間DV」の実態 支援歴20年のベテランが怒りの告発
――驚きました。女性だから適切に対応してくれる、というわけではないのですね。
本当に個人差が大きいのです。たとえば北海道のある市の警察にはとても理解のある男性の担当者がいます。彼は、DVや性暴力被害者が警察に駆け込んできたら、民間シェルターにつないでくれます。
対応は人によっても差がある
そして、「俺がいないときでも同じように対処するように」と部下にもしっかり伝えてくれていますし、民間シェルターのスタッフから警察に連絡があったら「俺の命令だと思って、この人たちの言うことを聞け」と言ってくれている。このように警察としっかり連携ができると、被害の回復もしやすいのです。
北海道には、ほかにもいい例があります。ある企業で、職場結婚した夫とDVが原因で離婚した、という事例です。妻は「元夫と同じ職場に居づらいのでは?」と思われたそうですが「あちら(元夫)を転勤させてくれ」と頼んだら、その要望が通ったそうです。このように企業との連携も非常に大事です。
どんな暴力被害でも、被害者が仕事を辞めずに済むような仕組みが大事なのです。経済的に安定していることは、とても大切なことですから。
――対応策があるとわかると、少し希望が持てます。
根本的に間違っているのは、強盗でも殺人でも加害者がつかまるのに、DVの場合だけ、被害者が逃げなくてはいけない、ということです。暴力のありようは社会のありようが決めています。今の社会のあり方を変えなくてはいけないと思います。
※後編に続く
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