FC今治高校「ぶっ飛んでる」と話題の教育の中身、各界の第一人者が名乗り 卒業後の進路を不安視する声に対する回答とは

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全国から生徒を受け入れるために寮を新設した。男女別・完全個室で寮監が常駐。3年生は寮を出て街で暮らすことになる

この学校では、「歴史を動かす人財の育成」をゴールに掲げています。AIが発達し社会が大きく変わり、なくなる仕事も出てくる。気候変動で人類の存続も危ぶまれる。そんな時代に必要な力は大きく変わっていく。ロールモデルがいない時代に主体性を持って未来を作っていく力を育むのがミッションです。

そのためにどのような教育を行うのかというと、ポイントは大きく次の3つです。

1. 日本一出会いの多い学校
2. 遺伝子にスイッチが入る体験
3. ヒストリック・キャプテンシップの育成

そこで、まず辻校長に具体的な教育内容を聞きました。辻校長は、東大卒業後首都圏の有名進学校で教員を11年間務めた経験を持っています。

その学校では、東大進学クラスを受け持ち県下一の東大合格者を出すことに成功するも、そのような教育の限界を感じて退職。コンサルティング会社に転職し、青森でラーニングスペースの運営などを手掛けていたところ、縁あってFC今治高校の校長に抜擢されたという経歴の持ち主です。

「街づくりには、教育というベーシックインフラが必要だ」という思いと、岡田氏の中にあった理想の教育が共鳴し合い、タッグを組むことになったのです。そこから「どんな学校にしていくのか」具体的なシステム構築が始まりました。

教科学習は午前中に集約、午後は学校の内外で実践を通して学ぶ

まずカリキュラムは、学習指導要領による教育を行いますが、一般の高校とはかなり違います。

辻正太(つじ・しょうた)
FC今治高等学校 里山校 校長

単位数は、高等学校の卒業要件を満たす76単位に設定(単位数については現時点での予定)。ちなみに高等学校学習指導要領による卒業認定単位は74単位ですが、76単位は一般的な高校よりも30単位ほど少ないそうです。

いわゆる教科学習は午前中に終わらせて、午後はスポーツやアートのほか、校外フィールドワーク中心に学ぶ実践型プログラムを行います。

かなり突飛な取り組みだと思うかもしれませんが、東京都渋谷区でも4月から全公立小中学校で同じようなカリキュラムの実施を決定しており、文科省が奨励する「個別最適な学び」と「協働的な学び」を先取りした取り組みと言えるでしょう。

さらに、定期テストはなく代わりに教科ごとの単元ごとに行う「単元テスト」を実施して、その都度つまずきを発見しながら学習進度を確認していきます。

教科学習を担う常勤の教員は、全国から新たに採用された高校教員免許を持つ20〜60代の8名(今後必要に応じて採用予定)。新しい教育への熱い思いを持つ人たちが集まりました。中には、灘中高で長く教鞭をとった先生も参画します。

教科学習も、ICT教材なども活用しながら、探究と紐付けしながら生徒が主体的に学んでいきます。学びの主体は生徒。先生は必要に応じて関わるコーチ的存在です。

これは、新学習指導要領が目指す「主体的・対話的で深い学び」を体現するものですが、既存の学校ではまず先生のマインドチェンジに時間がかかるのが現状。その点、「FC今治高校はゼロからスタートするので、教員も振り切ることができる」と辻校長は言います。

各界の第一人者が自主的に声を上げて続々と参加表明

教科学習にかける時間を絞って作った余白を活用して午後に行われるのが、学校の内外で行われる実践型のプログラムです。

それらを担うのは、外部のカリキュラムパートナー。この学校の理念に共感した各界の第一人者から地元の実務家まで、現在30名以上の多様な大人たちが名乗りをあげています。これは最初から意図したことではなく、岡田氏の思いに賛同した人たちから「自分も若い人たちのために何かしたい」と申し出があった結果です。

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