30馬力UP「マクラーレン750S」の真価は何か? THE MAGARIGAWA CLUBで確かめた走りの手応え
3割におよぶ部品を新設計するなどして、車重を30kg軽減するとともに、「ボディ各部のデザインを見直し、空力性能を引き上げたことが、さらなる性能アップにつながった」とマクラーレンでは説明。
マクラーレン発表の数値を見ると、静止から時速100kmまでを2.8秒で加速。さらに、時速200kmに達するのも7.2秒とされている。「GR86」の静止から時速100kmまでが6.3秒だから、その速さは驚異的というほかない。
試乗の場所は、千葉県南房総市の「THE MAGARIGAWA CLUB(マガリガワ・クラブ)」なるプライベートサーキット。
720Sでは、市街地でも乗りやすいGT的な性格も強調されていたように私は思っていたが、750Sではいきなりサーキットが試乗の場に指定された。それだけ性能に自信があるということだろう。
マガリガワ・クラブのコースの特徴は、小さな曲率のカーブが多いことと、高低差が極端であること。短い距離で登りきったと思った途端に急勾配の下りがある、という具合。750Sは、そんなコースを予想以上に“生き生きと”走った。
急なアクセルペダルの踏み込み、あるいは右足の力を緩めての減速、これらの動きに対する反応が実に素早い。それにブレーキは強力だ。だから、小さなカーブが連続するコースが、むしろ楽しく感じられる。
個人的な記憶をたどると、ハンドルを操作したときのいわゆるステアリングフィールは、720Sよりうんとよくなっているように感じられた。特にハンドルを握った手の平に、“どんな路面を走っていて”、“前輪がどこを向いているか”といった情報が、よりよく伝わってくるようになった。スポーツカーでは、とても大事な要素である。
美しさは「自然」から生まれる
750Sのもうひとつの魅力は、ボディスタイル。知っている人なら、たとえ新型を初見でも、すぐにマクラーレンだとわかるはず。そう言いたくなるほど、独自の個性がある。
「あぁ、これが750馬力のマクラーレン750Sね」と、路上ですぐ認知されることが重要だという同社のマーケティング/デザインコンセプトは、いいところをついていると私は思う。
かつてマクラーレンのデザインを統括していたロブ・メルビル氏が私に語ってくれたのは、「美しさとは、たとえ工業製品であっても、木の葉や波紋といった自然にインスピレーションを得たデザインから生まれる」ということだった。
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