「内向型の人」に秘められているすごいエネルギー 実はイーロン・マスク、ビル・ゲイツも内向型

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対照的に外向型の人の血液は、視覚、聴覚、触覚、味覚(嗅覚は除く) が処理される脳の各部へ流れていました。彼らの主要な経路は短く、複雑ではありませんでした。

そのため、外部の出来事への反応は速いのですが、思い付きで行動するケースも少なくありません。

両者の情報処理の大きな違いは、外部からの刺激(情報)に対して意図や解釈を加えてから記憶し、処理・反応に結び付けるかどうかにあります。

内向型の場合、情報・意味付け・計画・記憶・問題解決を扱う脳の領域を移動するため、移動領域も多くなります。意味や解釈を加えるには意識を自分の内側に集中させる必要もあります。内向型は外向型の経路よりも40%多くのエネルギーを使用するとの報告もあります。

内向型が集中力に優れているのは、自分の内側に意識を集中させやすい脳構造になっているからといえるのです。

なぜ静かな人は「驚異的な集中力」を発揮するのか?

内向型の人が外向型の人に比べて集中力が高いのは、脳の網様体賦活系の働きの違いによっても説明できます。

網様体賦活系は聞きなれない言葉だと思いますが、外部からの刺激を最初に処理して、脳に伝える部位です。大脳皮質の覚醒を引き起こしたり、脳内の情報を仕分けしたり、検索エンジンのような働きも担っています。

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例えば、皆さんが何かを見たときに「これ、3年前にも見たことあるぞ」といったように思い出せるのは網様体賦活系が古い記憶を呼び起こしているからです。

また、赤いコートが欲しいなと思って街を歩いていると、赤いコートを着た人ばかり意識してしまうのも網様体賦活系の働きによるものです。

これまでの研究では、内向的か外向的かは網様体賦活系の個人差によって決まるとされています。内向的か外向的かは網様体賦活系によって引き起こされる大脳皮質の覚醒と制止によって説明できると理解されています。内向的な人は覚醒レベルが高く、外向的な人は制止レベルが高いと考えられています。

内向的な人のほうが刺激に対して敏感ですので、大脳皮質は少しの刺激でも過剰に覚醒しやすい構造になっています。そのため、過剰な興奮を避けるために刺激を可能な限り避ける傾向があります。

一方、外向的な人は刺激に対して鈍感です。大脳皮質の覚醒が遅かったり、覚醒状態になってもすぐに覚醒が収まったりします。ですから、通常の刺激では外向型はすぐに退屈して、満足できません。より強い刺激を求めて、活動的になります。

このように内向型の脳は刺激を抑える仕組みになっています。網様体賦活系が刺激を回避して、集中力を発揮できる環境を整えているのです。

大山 栄作 精神科医

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おおやま えいさく / Eisaku Ooyama

米国・精神科医。自身も内向型。マンハッタン精神医学センター精神科医。安心メディカル・ヘルス・ケア心療内科医。米国精神神経学会認定医。米国精神医学協会(APA)会員。1993年東京慈恵会医科大学卒業。聖路加国際病院 小児科、慈恵病院 精神科を経て、埼玉県立越谷吉伸病院 精神科医長。2005年よりシティ・オブ・ホープ・メディカル・センター、ハーバーUCLAメディカルセンターにて、精神疾患の分子生物学的研究に従事。2012年マウントサイナイ医科大学精神科研修修了、現在に至る。日本で10年以上、米国で10年以上の臨床経験をもつ。

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