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円安誘導をやってきたが貿易赤字国になった理由 産業の構造転換を促す機会を現状維持で逸した

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2023年の貿易赤字額は前年比減少だが、貿易収支の悪化は続く。過去の円安誘導が逆効果だったか。

サプライチェーンの正常化で自動車などの輸出は増えたが、輸入も増加している(写真:Mark Abramson/The New York Times)

財務省が公表した貿易統計によると、2023年通年の貿易赤字は9.3兆円と、前年の同20.3兆円から赤字幅は大きく縮小した。赤字幅縮小の半分以上はエネルギーの貿易赤字減少によるもので、残りはかなりの部分が輸送用機器の黒字増加によるものだ。輸送用機器の黒字増加は、コロナ禍におけるサプライチェーンの寸断で輸出が大きく落ち込んでいた分の反動と考えられる。

電気機器は1兆円の貿易赤字

一方で、項目別に見て、一昨年と比べて貿易収支が悪化したのは一般機械と電気機器だ。昨年の電気機器の貿易収支は1兆円の赤字と、統計がさかのぼれる1988年以来初めて赤字に転落した。

電気機器の貿易収支は1990年代前半には8兆円前後の黒字を記録しており、当時のエネルギーの貿易赤字を完全に打ち消していた。輸出額も1990年代前半に比べれば2倍弱に増えているのだが、一方の輸入額は8倍に膨らんでいる。日本企業の積極的な対外直接投資・海外への生産移管が進んだことによる日本の貿易構造の変化を如実に表していると考えられる。

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