ペットボトルの形状、丸と四角の差って何? 進化する飲料業界が編み出した知恵

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
炭酸飲料以外の多くは、いったん熱殺菌してから充填する

2つ目が「注ぐ中身が熱いかどうか」。熱いかどうか……というのは、ホット飲料かどうか、ということではない。ペットボトルで展開されている飲料のうち、炭酸飲料以外の多くは、いったん80~90℃にして熱殺菌されてから充填されている。果汁飲料や乳酸系飲料、スポーツ飲料など冷えた状態で飲むのが当たり前の商品も、まずは熱々に熱殺菌されてから充填され、後から冷却処理されている。

この熱い液体を冷却するときに、容器の外側からかかる圧力に耐えられるようにするため、凸凹があるのだ。この凸凹構造のことを、正式には「減圧吸収パネル」と呼び、このパネルがあるペットボトルのことを「多角ペットボトル」と呼ぶ。減圧吸収パネルがあることで、ペットボトルにたくさんのカドができ、より圧力に対して強力なものができあがるのだ。

TBSテレビ『この差って何ですか』6月14日(日)放送。気になる「お金の差」スペシャル!わずか5時間で15万円以上を稼ぎだすカリスマビール売り子に密着!衝撃の仕事術大公開!売り上げトップの子と新人売り子に衝撃の差!!ほか

その証拠に、減圧吸収パネルがない、つるっとした丸い形のペットボトルに熱湯を入れて、その後、氷水につけて冷却すると……外側からの圧力に耐え切れず、これまた大きく変形してしまう。

ちなみに、炭酸飲料は殺菌していないのかというと、実はそうではない。炭酸飲料の場合、直接熱殺菌すると炭酸が抜けてしまうため、ペットボトルに充填した後熱水シャワーをかけて、容器の外から殺菌しているのだ。

充填方法の進化でデザイン重視へ

ここまで話を聞いたところで、要は「いかに殺菌するか」がペットボトルの形を左右してきたことがわかる。しかし最近では、この「いかに殺菌するか」という発想を「いかに除菌するか」という発想に変えることで、充填方法を大きく進化させることに成功している。

「飲料の充填」「フタ閉め」など、製品化に向けたすべての作業を無菌室で行うため、熱処理・冷却作業による圧力対策を心配する必要がなくなり、ペットボトルは完全にデザイン重視でOKになったのだ。

飲み口に熱処理対策が施された白い飲み口のペットボトル

それを見分ける方法は、ペットボトルの飲み口にある。飲み口の所が白いものは、従来の熱処理対策が施されているペットボトルだが、飲み口が透明のものは、無菌充填などの方法により熱処理対策がされていないペットボトルということになる。

ちなみに。殺菌事情や圧力対策とはまた別の問題で開発されたペットボトルもある。それは、多角ペットボトルの中でも真四角のペットボトルだ。

丸い形に減圧吸収パネルが施されているようなものは、主に自動販売機などで転がることを想定して作られたものだが、真四角のものは、コンビニなど狭い陳列スペースに、より多くの商品を並べるように作られたものだとか。

飲料業界や関連業界で働く人々の知恵と工夫が凝縮されているペットボトルの世界。次にあなたが手に取るペットボトル飲料が、どんな形をしているか、この「差」を知るとまた違った楽しみができるかもしれない。

TBSテレビ『この差って何ですか?』取材班

TBSテレビ「この差って何ですか?」は、世の中のさまざまな“差”に注目して、なぜその差が生じているのかを探る新バラエティ番組。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事