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タムロン社長が語る経費流用問題からの信頼回復 「社長の経費は社長決裁」に問題があった

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タムロン桜庭社長
桜庭社長は1981年の入社以来、技術畑をずっと歩んできた(撮影:尾形文繁)

埼玉県に本社を置く世界的レンズメーカーのタムロン。自社ブランドの高倍率ズームレンズには定評がある。だが2023年8月に前社長の鯵坂司郎氏が突然の辞任。理由は、鯵坂氏ら歴代社長2名、役員2名による合計1億6000万円を超す経費私的流用が発覚したことにあった。

代わって社長に抜擢されたのが副社長だった桜庭省吾氏だ。初の技術畑出身の社長となる。就任から5カ月。前社長らの問題をどう受け止めているのか。今後、タムロンをどう導いていくのかを聞いた。

 

──​歴代社長による経費の私的流用が発覚しました。どう受け止めましたか。

恥ずかしい話だが、「ただただ驚いた」というのが正直なところだ。

今回問題になったのは会社の業務と関係が認められない私的な飲食や同伴飲食(での経費の使用)。社長が使った経費を社長自身が承認するという行為は、われわれほかの役員も、もちろん一般社員の目にも触れる機会がなかった。

社長の経費は社長決裁、この部分でガバナンスが利いていなかったことがすべてだ。ほかの役員や社外取締役、監査役の目に触れることができなかった。再発防止策として、今は経費システムの見直しを進めている。

われわれには、株主に対する責任がある。 株主利益に関しては、対象者4名に対する訴訟提起も視野に入れている。役員報酬の減額も、残された役員として襟を正す意味で決定した。徹底的にウミを出し切り、役員と社員が一緒になって、新しい体制で信用を回復していきたい。

社員には「誇りをもって」と発信

──​前社長の鯵坂氏による経費の私的流用に関する内部通報が適切に取り扱われたことが、発覚のきっかけになりました。

そういう意味のガバナンスはきちんと機能したと思っている。通報を受けて始まった内部調査は、社内の取締役・執行役員が関与することなく社外取締役と監査役が主導になって行った。その結果を受けて、前社長が2023年8月に辞任した。

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