中越パルプ工業、「夢の新素材」を開発強化する訳 「セルロースナノファイバー」で農業領域を開拓
農水省の認定により、CNFを活用する農業法人など生産者は、日本政策金融公庫による無利子・低利での融資や、税制特例を受けられるという。伊東氏は、「これまでCNFの認知度は高くなかったが、今回農水省の認定を受けたことで農家などの関心は高まる」と期待を寄せる。
「殺虫殺菌剤など農薬市場は年間の出荷額で約730億円の規模があり、1%をCNFに置き換えてもらうだけで7億円の売上高となる。普及拡大に期待したい」(伊東氏)
CNFの設備としては国内2位の規模
同社は2017年1月に、CNFの生産・販売を担う組織として、開発本部内にナノフォレスト事業部を設立。同年6月から川内工場(鹿児島県薩摩川内市)に約12億円を投じたCNFの生産設備を稼働させている。
最大生産能力は年間100トンで、大手製紙会社の日本製紙・石巻工場の年間500トンに次いで、国内では大王製紙・三島工場と並ぶ、2番目の規模だ。
同社はその川内工場で、水と混ぜたCNFや粉末にしたCNFなど用途に応じた複数の製品を、同社の独自製法であるACC法によって生産している。
生産したCNFはこれまでに、スピーカーの振動板やヘッドホン、卓球のラケットやスニーカーの靴底、琴柱(ことじ=琴の胴に立てて絃を支える柱)、化粧品などの用途で使われている。
さらに、本社がある高岡工場では、より高機能なCNFの生産に向けて、パイロットプラントの稼働準備が進められている。現在は設備の検証テストを実施中で、川内工場との2拠点体制で需要増に備える。
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