笑い飯哲夫「金持ちしか賢くならへんやん」、10年続く「格安塾経営」を公言の訳 子どもたち全体を底上げするために投資が必要

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学校は「先生がちゃんと子どもを怒れる場所」であってほしい

「僕は、学校も、先生がちゃんと怒れる場所であってほしいと思っています。今の先生は息苦しいでしょうね。怒ったら親にどう言われるか、メディアでどう報道されるかと恐れている。公教育がこれでは、子どものためにもならんとちゃうんかと思います。もちろん暴力はいけませんが、暴力と愛の鞭を一緒に議論するのはおかしいでしょう」

そう哲夫さんが語るのは、自身が出会ってきた教員の姿と現在の教員の姿とにギャップを感じているからだ。

「忘れられないのが、中学校の服装検査です。検査だからちゃんとしたズボンをはいたんですが、それがなぜかすごく臭くて。とりあえず母親の香水を振って登校したんです。そしたら教室で、『何か臭うぞ』と騒ぎになって。恥ずかしかったので、先生にそっと『ズボンが臭いので早退したい』と伝えると、『お前は何を言っているんだ』と言いながら僕のズボンを嗅いで、『すぐ帰れ』って(笑)」

おやつを出してくれたり、サッカーゴールを設置してくれたり、細かなルールより子ども優先で、先生の枠を超えて育ててもらった感覚があると言う。ちょうど『3年B組金八先生』の世代でもあり、哲夫さん自身、教員を志した時期もあった。学生時代も塾講師や家庭教師のアルバイトをしていた哲夫さんは、自ら編み出した授業の仕方を含め、現在では教員向けの講演経験もあるという。

「授業は、圧倒的な知識量を見せつけると楽しいんですよ。例えば歴代首相の名前をスラスラ言えたら、子どもたちは『すげ〜!』と食いつきます。先生も『俺すごいやろ?』と自画自賛したりしていると、子どもたちにはその姿が可愛らしく面白く映って、笑ってくれる。『ひけらかしたがり』くらいがちょうどいいんじゃないかな。

ただ、教えることが多くて時間もないから、そんな余裕はないのかもしれません。だから僕は、もっと副担任がいていいと思う。塾もそうですが、1人より複数で見たほうがやりやすい。1人に『先生、ここ教えて!』と言われれば授業が止まるし、その間に教室も騒がしくなります。それができないほど教員不足なのは、やはり給料が安いからでしょう。先生はもっと給料をもらってええんちゃいますか」

今後の地球を担う賢い子どもたちを、家庭と学校だけでなく、地域で育てる。いろいろな人と出会い、さまざまな価値観に触れ、閉塞感のある現代を柔軟に生きる。哲夫さんが思い描く地域教育は、少子化が進み人口が減少するこれからの社会の処方箋なのかもしれない。

(文:高橋秀和、編集部 田堂友香子、写真:今井康一撮影)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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