120周年を迎えた復活の伝統女子校、山脇学園が掲げる「進化」と「自主性」 伸びる進学実績、米コロンビア大や医学部にも

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学校を「子ども自身も知らなかった自分を見つける場所」に

「本校が第1希望だった子もいれば、そうでなかった子も。入学直後の生徒たちは、中学受験を経てゴールテープを切った状態です。まずはこれからの学校生活に向けて教員が手を引いてあげるつもりで当たっています」

西川氏は自ら受け持つ道徳の授業で、「中学受験で身に付けてきた自分へのイメージを、一度すべてクリアにしよう」と呼びかける。

「周りと比較して自分を判断してきた子どもたちは、『私はこれぐらいのレベル』とか『この教科は苦手なんだ』とか、何となく限界を見積もってしまっています。その一因に、保護者の言葉や態度があることも決して少なくありません」

学校説明会などで同校の積極的な学びについて話すと、保護者に「山脇学園って結構チャレンジさせる学校なんですね。うちの子はそういうのがダメだから合わないかも……」などと言われることがあると言う。

「保護者も子ども自身も知らなかった自分の志を見つけられることが、本校の特徴の1つだと考えています。つまり私たちは『そういうのがダメ』な子も挑戦できる仕組みを用意しているわけで、できないと保護者に決めつけてほしくないのです。『うちの子はこれぐらい』と思っている親御さんにこそ、わが子を信じることに挑戦してほしいですね」

中1では手を引いていた教員が、中3頃から少しずつ生徒の後ろに下がっていき、高2、高3では完全に生徒が前を歩く。もちろん必要なことがあれば、教員が手を差し伸べる。西川氏は、同校の教員と生徒の関係をそんなふうに例えた。

つい先日もこんなことがあった。

入学間もない頃は、何かあるとすぐに涙を流していた内気な生徒がいた。オープンキャンパスの案内係にチャレンジしたときは、蚊の鳴くような声で来場者に応対していた。そんな彼女が高校生になり、全国規模のコンペに参加。場数を踏むたびスキルアップしながら勝ち進み、観衆の前で立派にプレゼンして、敗退したことに悔し涙を流したそうだ。

教員たちは驚いたが、これは生徒が教員を追い越し、「自身も知らなかった自分を見つけた」好例だろう。西川氏は「本校はそんなうれしい驚きに満ちています」と言い、こうしたことは同校の教員がよく立ち会う光景だと付け加えた。

(文:東洋経済education×ICT編集部、注記のない写真:山脇学園提供)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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