過去最大規模に増加している経営陣が参加する買収(MBO)は、ことしを2013年以来の上昇率で終えようとしている日本株市場に吹く新たな追い風との見方がある。
相次ぐ株式非公開化の発表で、日本株に強気な見方の背景でもある東京証券取引所の企業価値向上への呼びかけが注目されている。23年のMBO総額は少なくとも8700億円と前年の2.7倍になり、ブルームバーグで確認可能なデータでは過去最大規模だ。増加率は世界全体の50%増を大きく上回る。
大正製薬ホールディングスやベネッセホールディングスがMBOを発表した11月には件数が急増し、11年12月以来の多さとなった。
事業と業界の再編につながる可能性
「事業の再編につながるのであれば、全体で見るとポジティブのインパクトは大きい」。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の中沢翔ストラテジストはこう語り、株主と経営者のコミュニケーションが円滑に取られた上でのMBOであれば、事業と業界の再編につながる可能性を指摘する。
いちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役は、割安銘柄が市場からなくなることで市場は適正な評価を受けやすくなり、「資本市場の価値が上がる」と話し、マーケットにとって良い話だとの見解を示した。
日本取引所グループ(JPX)の山道裕己最高経営責任者(CEO)は11月の定例会見で、各社が適切に議論した結果だとし、JPXにとって良い悪いという話でもないと述べた。