東洋経済が選ぶ「年末年始に読みたい」、学校教育関係者にお薦めの本10選 2023年を振り返り、2024年に備える1冊がここに

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読み・書き・計算などの学力やIQといった数値化できる、評価測定できる認知能力に対し、数値で表せないのが「非認知能力」。評価測定できない、忍耐力や自制心、協調性、コミュニケーション力などを指す。

その中から、『教師のための「非認知能力」の育て方』(著:中山芳一/明治図書)では、学校で活用できる「自分と向き合う力、自分を高める力、他者とつながる力」に着目。非認知能力を認知能力と合わせて育成する方法を、5つのステップにわけて小・中学校・高等学校などの実践例とともに詳しく紹介している。

筆者の岡山大学教育推進機構准教授・中山芳一氏は、岡山県内をはじめ大阪府や京都府などで、非認知能力育成のための研修も行っている。非認知能力の育成について研究する中山氏の知見がたっぷりと学べる1冊だ。

生産性が爆上がり!さる先生の「全部ギガでやろう!」(著:坂本良晶)

生産性が爆上がり!さる先生の「全部ギガでやろう!」
『生産性が爆上がり!さる先生の「全部ギガでやろう!」』(学陽書房)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

GIGAスクール構想によって公立の小・中学校に1人1台の端末が整備されて、もうすぐ丸3年が経つ。

学校現場に立つ先生から実践的なICTの活用に関する情報発信も多く出てきているが、『生産性が爆上がり!さる先生の「全部ギガでやろう!」』(著:坂本良晶/学陽書房)は、授業にとどまらずICTを核として学級経営や働き方のすべてをよくしていこうという、欲張りな1冊だ。

著者である「さる先生」こと坂本良晶先生が、日ごろ使っている教育用アプリ「Canva」「Padlet」「Kahoot!」「Flip」の使い方や、子どもがどんどん学びを深めることのできるタブレットを活用した具体的な授業事例が豊富におさめられている。「最初から上手に使いこなせたわけではない」という著者の試行錯誤の末の授業づくりは、多くの先生の参考になるのではないだろうか。

ICTを使わなかったときに比べ授業は楽しくなり、それに伴いクラスの雰囲気もとてもよくなったという。さらに毎日、ほぼ定時に退勤しているというさる先生の仕事術も読み応えがある。ICTを徹底的に活用することで「教師の仕事がこんなに変わるのか」と。たくさんの活用例が紹介されているから少しずつでも試してみたい。軽快な文体でサクサクと読めてしまうので1冊があっという間だが、課題に応じて必要な章ごとに読むという読み方もいいかもしれない。

今日から残業がなくなる!ギガ先生の定時で帰る50の方法(著:柴田大翔)

今日から残業がなくなる!ギガ先生の定時で帰る50の方法
『今日から残業がなくなる!ギガ先生の定時で帰る50の方法』(学陽書房)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

学校の働き方改革がいわれて久しいが、教員不足などにより学校は慢性的な人手不足が続いていて、苦境に立たされている学校、先生は多い。だが、そんな中でも自身の働き方を見直して、仕事もプライベートも充実させている先生は多くいる。

大阪府で小学校教員をしている「ギガ先生」こと柴田大翔先生は、その1人だ。かつては毎月の残業時間100時間超えが当たり前、土日も学校に行っていたが、「このままの働き方で本当にいいのか」「もっとみんなが幸せになる働き方があるのではないか」と思い始めたのが働き方を見直すきっかけになったという。

ありとあらゆるアイデアや方法を駆使した結果、残業はMAXで145時間あったにもかかわらず、ほぼ毎日定時退勤に。『今日から残業がなくなる!ギガ先生の定時で帰る50の方法』(著:柴田大翔/学陽書房)は、そんな柴田先生が実践しているスケジュールの立て方や授業準備、丸つけのコツ、整理整頓、生活習慣に至るまで幅広いジャンルのアイデアが満載。タブレットの活用法やお役立ちグッズも紹介している。

「子どもたちのために手は抜きたくないけど、自分の時間も大事にしたい」。教師の仕事量が増す一方の中で、頑張り続けている先生に読んでほしい1冊だ。

攻める学級経営/守る学級経営(著:三好真史)

攻める学級経営
『攻める学級経営』(東洋館出版社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

教師の本業は「子どもと向き合うこと」、その中核はやはり授業だろう。その授業をよりよくするために必要なのが学級経営だ。

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