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結局、いまのドイツは無駄な投資をしている ユーロ導入以降のドイツ経済「成功物語」の終焉

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ドイツ経済はなぜ2000年代以降、好調だったのか。そしてなぜ今後は長期の停滞が予想されるのか。

2000年代以降、絶好調の経済が続いたドイツだが、外部環境の激変とショルツ政権の失策で長期の停滞を余儀なくされそうだ。写真はオラフ・ショルツ首相(写真:Bloomberg)

ドイツの景気停滞は長期化する。これが筆者の基本的な見立てである。その理由は、国際競争力の低下にある。国際競争力を示す指標として「実質為替レート」がある。実質為替レートが下がれば、その国の国際競争力は改善し、輸出が景気を牽引する。とはいえ、反面で輸入の購買力も低下するため、それが内需を下押しすることにも留意したい。

いずれにせよ、輸出に強みを持つ国であれば、実質為替レートを切り下げるメリットのほうが、デメリットを上回ることがある。その実質為替レートは、以下の式から成立する。つまり「実質為替レート=名目為替レート×内外価格差」だが、そのうちその国がコントロールできる変数は、名目為替レートと自国の物価水準の2つの要因だけとなる。

したがって、実質為替レートを引き下げるためには、金融緩和で名目為替レートを引き下げるか、それとも雇用の流動化などで強力なデフレ政策を採るか、あるいはその両方を行うか、いずれかのオプションを取る必要がある。そしてドイツは、まずユーロの導入(1999年)というかたちで、名目為替レートを引き下げることに成功した。

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