ドイツ経済はなぜ2000年代以降、好調だったのか。そしてなぜ今後は長期の停滞が予想されるのか。
ドイツの景気停滞は長期化する。これが筆者の基本的な見立てである。その理由は、国際競争力の低下にある。国際競争力を示す指標として「実質為替レート」がある。実質為替レートが下がれば、その国の国際競争力は改善し、輸出が景気を牽引する。とはいえ、反面で輸入の購買力も低下するため、それが内需を下押しすることにも留意したい。
いずれにせよ、輸出に強みを持つ国であれば、実質為替レートを切り下げるメリットのほうが、デメリットを上回ることがある。その実質為替レートは、以下の式から成立する。つまり「実質為替レート=名目為替レート×内外価格差」だが、そのうちその国がコントロールできる変数は、名目為替レートと自国の物価水準の2つの要因だけとなる。
したがって、実質為替レートを引き下げるためには、金融緩和で名目為替レートを引き下げるか、それとも雇用の流動化などで強力なデフレ政策を採るか、あるいはその両方を行うか、いずれかのオプションを取る必要がある。そしてドイツは、まずユーロの導入(1999年)というかたちで、名目為替レートを引き下げることに成功した。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら