コマツが賭ける資源国市場、中国の減速でも“強気”

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粗利高いのは鉱山用

鉱山機械事業の売上高は4000億円弱。粗利率は約40%(本誌推定、10年度実績)と、全社粗利率を10ポイントも上回る。一方、中国で主に販売する中型油圧ショベルは20%台だから、かなり高い。国内製造業の平均粗利率が20%なのを踏まえても、収益力の高さは一目瞭然だ。

鉱山用は個々のパーツの大型化に技術が必要なうえ、耐用性や安全性にも高い水準が求められる。これが油圧ショベルと異なり、参入障壁となって廉売合戦を回避できている。一度機械本体を売れば、その後10年間は修理サービスがヒモ付き、本体の3~4倍の売上高をもたらす、ストック型ビジネスでもある。

かつてはキャタピラーが世界市場の8割を握ったが、コマツは1997年に参入して以来、設備投資や同業のドイツ企業買収を重ね、近年ではキャタピラーと4割ずつシェアを分けるまで追い上げた。足元の資源高を受けた鉱山開発ラッシュも追い風。受注残は潤沢にある。多少の中国市場下振れは、このドル箱の稼ぎで吸収できる──というのが、強気の根拠だ。

ただ裏を返せば、絶好調の業績を維持するには、鉱山機械事業を死守するのが前提。キャタピラーは11年に米国の鉱山機械中堅を買収する見通しだ。被買収企業の売上高は約2900億円で、実現すればコマツは水をあけられる。業界3番手の日立建機も、今期から設備投資を倍増させ、鉱山機械事業の拡大に乗り出すと決めた。

にわかに不安視された中国減速。だがコマツにとって真の戦いは、キャタピラーとの頂上決戦が始まる、資源国市場にあるといえそうだ。

◆コマツの業績予想、会社概要はこちら

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(杉本りうこ =週刊東洋経済2011年6月11日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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