非暴力・不服従運動でインドを独立へ導いた、ガンディーの思想と実践を掘り下げていく本。反英闘争の中で、「塩の行進」をはじめとする大規模な抗議行動は実は総計で4年弱。残り50年以上は地道な日々の自己変革に費やされた。食・衣服・性・宗教・家族……。ガンディーにとって真に重要だったのはそれらの生活実践であり、不服従運動はその積み重ねの上にあった、と著者は説く。
──ガンディーの非暴力思想は誤解されていると。
彼のいう非暴力は単に腕力を用いないということではありません。臆病者の無抵抗か暴力を用いた抵抗かを選ぶとしたら、迷うことなく暴力を勧めるとまで言っています。彼の非暴力思想には3相あって、死をも恐れない勇敢さと相手の良心に訴える力を持つ「完全な非暴力」、暴力によってでも勇敢に立ち上がり抵抗する「非暴力的暴力」、そして臆病が理由の「偽善的無抵抗」。上辺だけの非暴力は最悪の道徳的堕落、それは暴力よりも卑しいと考えた。南アフリカで最初の人種差別を受けた際、彼が衝撃を受けたのは、諦めて声を上げない同胞に対してでした。
彼の非暴力思想の本質を表す言葉が、サンスクリット語の「サッティヤーグラハ(真実にしがみつくこと)」。公私をまたいだ生活全般において、真実に対し妥協を許さない断固たる実践。それこそが力を生み出す。非暴力とはその真実の表れの1つと言っています。
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