「ストレスを味方にする」東大生が実践する方法 常にリラックスした状態がいいともかぎらない

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東大生の人に話を聞くと、やはりこのプレッシャーを力に変える技術が高いと思わされます。合格する人は残りの日数はもちろん、本番までにやる問題集の周回数や過去問を演習する回数などを、はっきり見えるように管理しています。

中には日数ではなく、「自分が勉強に使えるのはあと○○時間」というように、より明確なリミットを設定している人もいました。「避けられない用事などで、勉強に割くことのできる時間は日によって変わるし、どの勉強に何時間くらいかかるかも予測がつく。だから、残り日数より時間を意識するほうが緊張感が出るし、やるべきことも明確になる」という理由からです。

この「終わりを意識する」という点で、私には受験生時代の苦い思い出があります。

私は東大受験の1年目に、不合格ながらもそれなりの点数が取れました。そのため、「あと1年あれば余裕で受かるだろう」と油断してしまい、結局2年目の受験でも不合格に終わったのです。

落ちた日からもう次の受験までのカウントダウンは始まっているにもかかわらず、有り余るほどの時間があるように錯覚してしまったんですね。そこで3年目は気持ちを改めて、「この時期までにこれを終わらせる」という目標を各教科でしっかり定め、合格までたどり着きました。

振り返ってみると、最初の年は「この1年で絶対に合格する!」と終わりの時期を明確に意識していたからこそ、集中して勉強に取り組めていたんだなと改めて思います。やはりある程度のプレッシャーがないと、人はなかなか頑張れないのです。

ストレスを味方につける

オリンピックやW杯などの大舞台を前にして、スポーツ選手がよく「試合を楽しむ気持ちでいきます」とインタビューで答えるのも、緊張や重圧が自分の力を高めてくれることを知っているからでしょう。

期限までに残された時間がわずかでも、自分のやるべきことが明確になっていれば迷いが消えて、ストレスを味方につけることができるはずです。そうすれば、アスリートのように「楽しむ」というレベルまで到達できるかもしれません。

確かにストレスは心地いいものではありませんが、自分の力を引き出してくれる存在だと思えば気持ちも変わってくるでしょう。

大事な本番を前にして緊張やプレッシャーを感じやすいという人は、ぜひ参考にしてみてください。

青戸 一之 東大卒講師・ドラゴン桜noteマガジン編集長

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あおと かずゆき

1983年生まれ、鳥取県出身。地元の進学校の高校を卒業後、フリーター生活を経て25歳で塾講師に転身。26歳から塾の教室長としてマネジメント業を行う傍ら、学習指導にも並行して携わる。29歳の時に入塾してきた東大志望の子を不合格にしてしまったことで、自身の学力不足と、大学受験の経験が欠如していることによる影響を痛感し、30歳で東大受験決意。塾講師の仕事をしながら1日3時間の勉強により33歳で合格。在学中も学習指導の仕事に携わり、現在は卒業してキャリア15年目のプロ家庭教師・塾講師を行う傍ら、ドラゴン桜noteマガジンの編集長を務める。

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