灘・ハーバード大卒の26歳芦屋市長が「まずは教員の働き方改革」と語る理由 髙島崚輔が教育大綱で掲げる「ちょうどの学び」

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また、小学校は公立、中・高は私立灘中学校・高等学校、大学は東京大学と米ハーバード大学で学び、また大学時代には海外大学の進学支援などを行うNPOの代表としてたくさんの公立学校を訪問しました。そのような中で、教育が与える影響の大きさを実感してきたことが、今の教育への関心につながっています。

「好奇心を育てること」と「なぜ学ぶのかを考えること」が大切

――さまざまなご経験の中で、日本の教育はどのような点が課題だと思われましたか。

とくにNPOの活動で全国の中学校や高校を訪問して生徒たちと話す中で、「なぜ学ぶのか」という問いに誰も自信を持って答えられないことは最大の問題だと感じました。なぜ学ぶのかということをもっとみんなが意識し、自分が納得できるまで考えられるような時間的・精神的余裕を持つことも大事なのではないかと考えています。

――ご自身は、「なぜ学ぶのか」という問いへの答えを持っていましたか。

私自身は、小さい頃から新しいことを知ること自体が楽しく、自分で考えた末の「わかった!」という喜びは大きいと感じていました。そうした知的好奇心が勉強においても1つのモチベーションになっていたと思います。幼少期から、自分が抱く日々の疑問について母親が一緒に考えてくれたことも大きかったのかもしれません。子どもの知的好奇心を育むことは、とても大事だと思っています。

自分が「何のために」という部分に思い至ることができたのは、高校生のとき。当時は東日本大震災から間もない頃で、生徒会の有志と定期的に東北を訪問していました。その中で、現地の同年代の生徒たちが自分の故郷のために行動している姿に衝撃を受けました。

私が通っていた灘校は、勉強に限らず1つのことに熱中でき、爆発的な集中力がある優秀な生徒がたくさんいてとても面白い学校です。一方で、残念ながら学力というモサノシで評価されることも多く、私は学びのアウトプット先というものをきちんと考えたことがありませんでした。だから、自分の学びを社会にどう生かすのかを真剣に考え、かつ行動に移している同世代に衝撃を受けたのです。この体験がなかったら、大学時代にNPOの活動もやっていなかったと思います。

――なぜ東京大学を半年で中退し、米ハーバード大学に進まれたのですか。

もともとハーバード大に行きたくてダブル受験をし、東大入学後にハーバード大の合格が決まりました。志望のきっかけは、高校2年生の1月に、ハーバード大に行っている先輩から「アメリカの大学に行ったほうがいいよ」と言われたこと。「とりあえず見てこい」と言われ、その年の2月に見学に行きました。実際に学生と話すと、彼らが自分の好きなことに誇りを持って学んでいるのが印象的でした。自分が世界を変えられると信じている学生もとても多い。ここで勉強すると、ワクワクできることにたくさん出合えそうだな、刺激的だろうなと感じました。

――ハーバード大卒なら、職業の選択肢もたくさんあったのではないでしょうか。

私は、自分が関心のあることや好きなことを仕事にすることが一番の幸せだと考えています。市長を目指した理由は先程お話ししましたが、こんなにワクワクする仕事はないと思いました。

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