杉並区初の女性区長・岸本聡子、「日本は子育てにお金かかりすぎ」と危惧する訳 「児童館廃止」へ向かう社会に感じた違和感

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海外生活が長く、議員や行政の仕事は未経験。それでも「いつか日本の地方自治に携わりたいという思いを持っていた」という杉並区長・岸本聡子氏。2022年6月の区長選では、わずか187票という僅差で劇的な勝利を収め、杉並区初の女性区長に就任した。「子どもは社会で育てていくという大きな合意が必要」と話す岸本氏。選挙公約に掲げた「区内児童館の再編計画見直し」や、自身が子育てをした欧州の、子ども関連のトピックスを中心に貴重な話を伺った。

ヨーロッパでは「政治が変われば生活が変わる」が浸透している

――区長選に出馬されるまで、政治とはまったく別の世界にいらっしゃったそうですね。

岸本聡子(きしもと・さとこ)
杉並区長
1974年、東京都生まれ。2003年よりオランダ・アムステルダムを本拠地とする国際政策シンクタンクNGO「トランスナショナル研究所(TNI)」に所属し、公共政策、水道政策のリサーチおよび世界中の市民運動と自治体をつなぐコーディネートを行う。22年6月、杉並区長選挙に立候補し当選。杉並区初の女性区長に。著書に『地域主権という希望 欧州から杉並へ、恐れぬ自治体の挑戦』(大月書店)、『私がつかんだコモンと民主主義ー日本人女性移民、ヨーロッパのNGOで働く』(晶文社)など。23年5月現在、21歳と15歳の2児の男子の母

2001年に起こった「9.11(米国同時多発テロ)」直前にオランダに移住し、03年にアムステルダムに拠点を置く国際政策シンクタンクNGO「トランスナショナル研究所(TNI)」に就職。水やエネルギー、食物を中心とした公共サービスに関する調査をしていました。政治家ではありませんが、社会の課題に働きかけるポリティカルな仕事を一貫してきました。その後、ベルギーのルーヴェンという街に移り住み、帰国したのは22年の出馬直前。海外生活はトータルで20年ほどになります。オランダに移住した理由は、オランダ人のパートナーとの間に子どもが生まれ、生活拠点を1つにする必要があったからです。

――地方自治や政治に興味を持ち始めたのはいつ頃からですか?

ずっとです。海外で長く暮らす中で「日本の民主化のために働くこと」が自分のミッションであることはわかっていました。それに近づくために仕事の傍らで日本語での執筆活動を始めたのが5年程前です。そんなときご縁があって杉並区長選への出馬を打診いただいたのです。「この機会に挑戦すべきだ」と直感が働きました。

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