西武が小田急・東急の「中古車両」を導入する狙い 大手私鉄間では異例の譲受、車両更新費用節約
今回、東急と小田急の2車種に白羽の矢が立ったのは、供給元となる両社での廃車計画と西武での導入のタイミングが合い、まとまった車両数を確保できることや、改修が少なく済むなどの条件が揃ったためだ。西武によると、ほかにも複数の鉄道会社の複数車種が候補に挙がったが、「条件が合致したのがこの2車種だった」という。
西武は当初、サステナ車両の定義としてVVVFインバータ制御方式とともに「無塗装」の車体であることを挙げていた。東急9000系は無塗装のステンレス車体である一方、小田急8000形は鋼鉄製で車体全体を塗装しているためこの定義には合わないが、無塗装の車種に絞ると条件が見合わなかったという。西武は、塗装した車両でも「VVVFインバータ制御であれば環境負荷の軽減につながる」と説明する。
2024年度から順次導入
東急・小田急から譲り受ける2車種は支線で使用する予定で、東急9000系は多摩川線・多摩湖線・狭山線・西武秩父線に、小田急8000形は国分寺線に投入する。8000形が国分寺線のみなのは、同線が6両編成での運転で、「譲り受けた状態で編成両数を変えずそのまま使用できるため」(西武)だ。
まず導入するのはすでに小田急で引退が進んでいる8000形で、最初の編成は2024年度に運行を開始する。小田急によると、8000形は8月末時点で6両編成12本(72両)と4両編成10本(40両)の計112両があり、「段階的に譲渡していく予定」(同社広報部)という。
一方、東急9000系の投入は2025年度以降の予定だ。東急によると、9000系は8月末時点で5両編成15本(75両)、同系列の9020系5両編成3本(15両)が大井町線で運行中だが、置き換え用の新車製造に着手しており、2027年頃をメドに退役する見込みという。こちらも新車の導入とともに西武への譲渡が進むことになるだろう。
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