西武が小田急・東急の「中古車両」を導入する狙い 大手私鉄間では異例の譲受、車両更新費用節約
導入するのは、東急の「9000系」と小田急の「8000形」の2車種。前者は大井町線の各駅停車として運行しているステンレス製車両、後者は快速急行などで活躍する白い塗装の車両だ。西武によると、東急9000系は4両編成で60両程度、小田急8000形は6両編成で40両程度の導入を想定しているという。
東急9000系は1986~1991年、小田急8000形は1982~1987年の登場で、すでに製造から40年程度経過している。西武がこれらの車両を投入して置き換える旧型車両の2000系・101系・4000系とほぼ同年代の製造だが、東急9000系は登場時から、小田急8000形はリニューアル時にVVVFインバータ制御を採用しており、旧型車に比べて使用電力量を約5割削減できるという。
小田急・東急の車両になった理由は?
西武の保有車両数は約1200両で、このうちVVVFインバータ制御の車両は約7割。関東大手私鉄ではすでに京王、東急、小田急、相鉄、東京メトロが営業用の全車両をVVVFインバータ制御化しており、後れを取っているのが実情だ。西武は新車と中古車両の投入によって2030年度までに100%VVVF化を目指す。これにより、同年度時点の想定でCO2排出量を年間約5700トン削減できるという。省エネ化は電力費の削減にもつながる。
中古車両の導入費用は、「新車の投入と比べて半分程度」(西武鉄道広報部)といい、初期投資を大幅に抑えられる。西武は「サステナ車両の導入はコストよりもSDGsへの貢献や環境への配慮が目的」と強調するが、短期間に大量の車両を置き換えて「省エネ化、固定費削減を前倒しで実現」するためには、低コストである点が重要な要素なのは間違いない。
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