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中堅企業に勤務する女性Aさん(この連載の読者である)には、頻繁に電話をかけてくる同僚Bさんがいる。
Bさんの話はいつも同じだ。
「もう限界。どうでもいい仕事ばっか振られるし、やってられないわ。もう会社、辞める」
「え、いきなり?」
「いや、ムリだから」
「でもさ、Bさんが辞めちゃったら、仕事、回んなくなっちゃうじゃない」
「そんなことないよ」
「でも、そうだよ。みんな困ると思うなあ」
辞める辞める詐欺の時間泥棒
Aさんの言葉に、Bさんはしばらく黙っている。おそらく、自分の存在が必要だという言葉に酔っている。だが、しばらくすると、また電話口で愚痴をこぼす。
「やっぱ限界。もう辞めるわ」
「そんなこと言わないで、まず、ちょっと休んだら? 働き過ぎだよ。リフレッシュしなきゃ」
「そんなヒマないし」
ここでAさんは少し首をかしげる。そもそもBさんは子育てがあるからと言って残業はしないし、休日もしっかり取っている。
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